日立製作所は6月27日、商品の温度管理の異常を色の変化で検知し、安心・安全な品質管理に貢献するインクを開発したと発表した。
インクは温度変化により色が変わる特性を有しており、商品ごとに定められた管理温度帯の上限と下限からの逸脱を検知することができる。
管理温度帯を逸脱すると、再び管理温度帯内に戻しても元の色に戻らない不可逆性を備えている。
インクとIoT技術を活用することにより、生鮮食品や医薬品などの温度を生産から消費までの流通過程で途切れることなくモニタリングし、より安心・安全な商品の品質管理が可能となる。
これまで、コールドチェーンでの商品の温度管理は、高価なデータロガーやRFIDなどのセンサー付記録機を使用してトラックやコンテナといった単位での管理が行われており、個別商品単位での管理が困難だった。
米国や欧州などでは生鮮食品や医薬品などの温度管理規制が強化されており、これからは生産から消費まで一貫した、個別商品単位でのきめ細かな管理が求められる。
日立は、このインクとIoT技術を統合的に活用し、生産から消費まで一貫した個別商品単位での温度管理の実現に向けて、顧客との実証実験を開始した。
商品のIDコードとこのインクを組み合わせた温度検知コードをスマートフォンで撮影することで、商品の温度管理、時間、場所などの情報を取得することができ、これまでよりも安価なコストできめ細かな温度管理が可能になる。
今後、この取り組みを加速し、生産から消費まで一貫した流通品質管理サービスの実現を目指す。
インクは、マーキング事業を手掛ける日立産機システムで製品化し、産業用印刷装置による個別商品への印字に適用するなど、日立グループ各社と協創することで、この技術を活用した事業の展開を進めていく。
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