川崎重工業は6月5日、新形状のLNG(液化天然ガス)運搬船用モス型LNGタンクを開発し、基本承認(AiP:Approval in Principle)を日本海事協会(NK)、アメリカ船級協会(ABS)、DNV GLの3機関より取得したと発表した。
世界の主要な船級協会の中でも優れた技術と実績を誇る3社より基本承認を取得したことで、新形状のモス型LNGタンクの信頼性と実現性の高さが証明された。
基本承認を取得した新形状のモス型LNGタンクは、従来の真球形状のモス型LNGタンクの円形の垂直断面を正方形に近づけるように変形させ、船体とタンクとの隙間を減らすことで、モス型LNGタンクの特長である優れた耐スロッシング(液揺れ)性や建造中・就航後の検査の容易性はそのままに、容積効率の向上を実現している。
新形状のモス型LNGタンクは、従来の15万5000立方m型LNG運搬船に搭載されている真球タンクと比較し、タンク幅および長さを変更せず、積載容量を約15%増加し、総容量18万立方mのLNGを貯蔵し、新パナマ運河も通峡可能なLNG運搬船を実現する。
従来のストレッチ球形タンクと比較し、タンクの高さを低く抑えることで、船橋からの視界や船体の復原性(船が傾いた際、元の姿勢に戻ろうとする性質)が向上している。
従来のモス型LNGタンクと同じIMO独立タンクtypeBに分類され、従来の構造解析をベースに新たに確立した強度評価手法を用いた精密な構造解析の実施により、高い信頼性を確保している。
さらに、タンクを構成しているアルミ合金製パネルが球面殻であることから、船体動揺により生じるスロッシングの影響をほとんど受けず、積み付け制限を必要としない、などの特徴を備えている。