圏央道が次々と開通している。2月26日の茨城県区間の全通により、放射状に延びる6つの高速道路が結ばれ、一気に利便性が増した。
その圏央道にいち早く目を付け、先進的物流施設開発に注力してきたのがGLP(グローバル・ロジスティック・プロパティーズ)だ。
埼玉県においてはGLP狭山日高Ⅰ、II、GLP川島を竣工させ、茨城県においてもGLP五霞を近々着工予定である。
圏央道開通を見越して施設を構えた、埼玉県加須市にある日立物流東日本PFC(GLP加須)は東北道加須ICの至近、圏央道と交わる久喜白岡JCTまで数分の距離に位置する。
圏央道周辺の物流施設の優位性、さらには圏央道を要とした今後の戦略について、日立物流の北関東営業部長、伊与久賢一氏と、GLPの執行役員投資開発・事業開発兼投資開発部長、塩田徳隆氏に聞いた。
<GLPの塩田徳隆執行役員投資開発・事業開発兼投資開発部長>
圏央道の重要性を見極め、戦略的開発進める
圏央道(首都圏中央連絡自動車道)は都心から半径40㎞から60㎞を目安に計画された延長約300㎞の高規格幹線道路だ。神奈川県、東京都、埼玉県、茨城県、千葉県の首都圏の広域的な道路交通の円滑化を目指して開発が進められている道路だ。
2月26日の茨城県下の境古河IC~つくば中央IC間の開通により、茨城県下の圏央道が全線開通した。これにより、東名高速から東関東道の6つの放射道路が接続され、全体の約9割以上が完成したことになる。
国土交通省の調査では、「圏央道(東名高速~東関東道)沿線に立地する大型物流施設約1600件において、生産性向上が加速する可能性がある」とし、現在物流業界のみならず、さまざまな業界からも注目を集めている地域だ。
すでに、圏央道は産業面、観光面でさまざまな効果を生んでいる。2016年10月27日に国交省が発表した圏央道(桶川北本IC~白岡菖蒲IC)開通1年のストック効果では、2009年以降に新規立地した大型物流施設は10棟を数え、全体では79棟が竣工したとしている。
このうち、GLPでは10棟の内、GLP厚木、GLP厚木II、GLP狭山日高Ⅰ、GLP狭山日高IIと半数近くの4棟を開発している。
沿線の企業では、生産性が確実に向上し、都心の渋滞を避けることで、五霞~静岡・神奈川間の配送時間が往復約1時間短縮し、物流コストが約1割削減した企業もあったと説明している。
GLPでは圏央道エリアに大規模で先進的な物流施設開発をいち早く進めているが、計画中を含めその棟数は9棟に達する。なお、最初に開発したのはGLP厚木だった。
首都圏全ての高速道路につながった圏央道の利便性
GLPの塩田部長は「2014年の狭山日高Ⅰの起工時には、圏央道は狭山日高ICと関越道がつながっているのみで、ほとんどトラックも走っておらず、その効果も限定的でした。しかし、今や6つの高速道路とつながり、利便性は飛躍的に増しています。正直、ここまで交通量が増えるとは思ってもいませんでした」と話す。
日立物流の伊与久部長は「圏央道がほぼ全線開通の形になり、首都高速道路を通らないで、6つの高速道路がつながり、輸送効率が格段にアップしました。特に、常磐道との接続と神奈川方面への輸配送の利便性は時間の短縮とともに、ドライバーの負担軽減にもつながり、配送の範囲が広がりました」と感慨深そうに語った。
2011年の東日本大震災により、物流施設の湾岸部から内陸部への移動の動きが強まった。
圏央道周辺の利便性が増すことにより、地域によっては土地の価格は倍以上にはね上がった例もあるという。GLPでは、圏央道のポテンシャルを認識し、土地取得に関しては早くから動いていたため、圏央道周辺にGLPの施設が多数点在するのだ。
日立物流とGLPは東北道加須ICから至近で、将来圏央道が開通することを見越し、この地に日立物流東日本PFC(GLP加須)の開発を決定。今では圏央道によりその利便性は大きく向上した。
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