研磨フィルムメーカーのMipoxは、ハンディターミナルに「頑丈5型ハンドヘルド TOUGHPAD FZ-X1」を採用し、棚卸業務の時間短縮・効率化を実現している。
<Mipox株式会社>
ハードディスクなどの精密研磨市場でトップシェアを誇る企業で、自動車製品分野など、汎用的な一般研磨用途にも拡大し、グローバル展開を進めている。
マレーシア、インド、シンガポールなど、9か国21拠点(2016年8月現在)を世界に展開し、1,000社以上の顧客を抱え、海外での売上は販売比率の7割を越えるなど、成長のフィールドをグローバルに拡大させている。
激しく変化するグローバル市場において「スピード」を強みとする同社では、膨大な在庫や生産管理に関する情報を一元的に管理することで、海外拠点も含めた全拠点での業務効率化、さらに業務均一化の実現により、多様化する顧客ニーズにも即対応することを目指した。
課題だったのが、拠点ごとにさまざまな形式、紙面などで情報管理していることによる効率の悪さ。
そこで事業領域の拡大と製品数の増加に伴い、SAP社のERP(統合基幹業務システム)とクレスコ・イー・ソリューションのハンディターミナル連携システムを導入した。
渡邊淳社長は「効率化のために私が導き出した答の一つが、社内のITインフラ環境を整備して、業務をIT化することでした。そこで導入を決めたのがSAP社のシステム。世界中で実績もあり、クラウドによる情報の一元管理は海外に拠点を持つ私たちにとって最適なシステムだと考えたからです。」と語る。
2014年11月にSAP ERPを導入し、2015年3月に棚卸から具体的な活用を計画した。
しかし、SAP ERPを導入した当初、バーコード読み取りエラーやERPへの取り込みエラーなどのトラブルが続出。
さらに、バッチ処理によりERPへデータ転送を行っていたため、システム在庫と実際の在庫に差異が生じてしまうことも問題となっていました。
このため、Mipoxの現場運用に則した形でSAP ERPを正常に、有効に活用できるシステムを改めて検討を行い、SAP ERP連携についての実績、初期投資やランニングコストの面からクレスコ・イー・ソリューションの「Mobick for SAPFiori」の採用に至った。
また、ハンディターミナル端末は過酷な環境下の使用に耐える頑丈設計、読み取り精度の高いバーコードリーダーや優れた操作性・発展性等の点から「TOUGHPAD FZ-X1」が採用された。
FZ-X1のバーコードリーダーで読み取ると、無線LANネットワークを使ってSAP ERPへデータが転送され、事務所にあるパソコンにもリアルタイムで転送されたデータが反映されるため、時間のロスなくチェックできるようになった。
<バーコードリーダーをかざすだけで読み込めるので、棚卸業務がスピーディで正確に>
<高い位置にあるバーコードも、FZ-X1なら離れた距離からかざしても読み込める>
FZ-X1を使用することで「バーコードリーダーの読み取り精度の高さ」も現場で改めて実感させられたという。
「従来のハンディスキャンタイプの端末だと、どうしてもエラーが発生し、角度を変えたり、近づけたりするなど、読み取る“コツ”が必要だったが、FZ-X1だと少し離れた距離からでも一瞬で読み取り、袋などに付いている曲がったバーコードも読み込めるので、ストレスなくスムーズに作業が進められた」と、高く評価している。
<倉庫の在庫数を確認中。並ぶ製品も高精度バーコードリーダーで効率的に管理>
さらに、スマートフォンと同じような直感的操作ができるため、短時間の操作研修を経て、すぐに使いこなせるようになるため、誰が操作しても迷うことなく、素早く、正確に棚卸業務を遂行できるので、個人の力量に依存することがなくなり、業務の均一化を実現した。
<事務所にあるパソコンには、リアルタイムで読み込んだデータが表示>
当初、棚卸業務時に利用する大画面バーコードリーダーとしてFZ-X1を採用したが、今後は在庫移動、棚番管理、在庫照会などの機能を搭載し、FZ-X1を活用した、さらなる業務効率化を検討している。
多彩な機能・インターフェイスを有するTOUGHPADの活用の可能性について、現場記録としてのカメラ機能や無線LANを利用した通話機能による迅速な社内連絡網の整備、社内で定着している顧客管理・営業支援アプリケーションの利用などを進めていく考え。
「生産管理はもちろん、製造、営業など、さまざまな場面での活用が考えられますね。また、バーコードリーダーという役割以上の活用を目指し、薄型・軽量4.7型ハンドヘルドのFZ-N1も採用することにしました。早速、アプリケーションをTOUGHPADに導入し、従業員のコミュニケーション活性化に役立てている」と、TOUGHPADの幅広い活用に大きく期待している。今後、マレーシア、インドなど、海外拠点にも導入する計画だ。
SAP ERP導入が増え、リアルタイムでのサプライチェーン管理が一般化しているなかで、物流現場での運用面で支障が発生するケースが多い。
今回のような課題を抱える多くの企業で、TOUGHPADの活用により、さらなる業務改善・革新が可能になることが期待されている。
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