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大和ハウス工業/浦川竜哉常務執行役員インタビュー

2016年09月07日/物流最前線

物流施設開発に今後3年間で3600億円投入

大和ハウス工業
常務執行役員 建築事業推進部長 建築事業担当
浦川 竜哉氏

<浦川氏>
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大和ハウス工業のスタートは倉庫からだった。鉄骨製パイプによる倉庫建設から出発し、その後、住宅、商業施設等さまざまな分野で基盤を築いてきた。創業以来61年間にわたり、物流施設開発も休むことなく実績を積み重ねてきた。小さな倉庫から最新の大型物流施設まで、日本国内のみならず東南アジアでも積極的に展開。今後3年間で3600億円を物流施設に投入する大和ハウス工業の「Dプロジェクト」について浦川竜哉常務執行役員に聞いた。

創業61年、スタートは倉庫からだった

<パイプハウス>
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<多聞酒造>
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―― 大和ハウス工業の倉庫事業の経緯について。
浦川 大和ハウス工業は創業が1955年ですから今年で61年になります。創業時の商品が旧国鉄に販売した鉄骨製パイプで作った倉庫、「パイプハウス」でした。これは1950年のジェーン台風により、日本家屋が大きな被害を受けたことがきっかけで生まれたものです。そのとき、多くの家屋が倒壊した中、竹のしなやかな強さにヒントを得て、中空になった鉄のパイプを使用すれば丈夫な構造物が作れるのではと、創業者である石橋信夫が考案したことが当社のスタートです。その後、倉庫では1957年に多聞酒造の西宮工場倉庫を施工しています。

―― 大和ハウス工業というと住宅のイメージがあります。
浦川 そうですね。その後、プレハブ住宅の原点「ミゼットハウス」を開発して、爆発的にヒットし、団地開発なども行ってきましたから、一般的には住宅の印象が強いですね。ただ、その後も、倉庫事業はいくつかの変遷を経て、営々と継続し、今日に至っています。

―― いくつかの変遷とは。
浦川 初期は請負施工が中心でした。それから、土地の有効利用として物流施設の設計・施工から賃貸事業と発展してきました。1992年に借地借家法の改正により、地主様が建物を自身で建てなくても良いことになりました。1998年には、SPC法が公布され、不動産の流動化、不動産の証券化が進みました。これらの4つのステージに分かれて、物流施設開発事業も発展してきました。2002年のバンテック様の武蔵村山センターの開発を皮切りに、ここ13~14年は、不動産の流動化手法が主流となって展開させて頂いています。

―― 外資系による大型物流施設開発が活発になったころです。
浦川 外資系ほど目立たなかったようですが、以前から当社でも大型物流施設を開発していました。武蔵村山センターでも延床面積は1万3000坪あります。

―― 先進的大型物流施設はまだ数パーセントで、今後も需要は伸びると言われていますが。
浦川 私は慎重に考えています。何をもって先進的と言うのかは定義が必要でしょうが、最新鋭の物流施設でなくても良いお客様はたくさんおります。例えば、全ての企業が、天井高5.5m、床荷重1.5tの平均的なマルチテナント型に入居する必要はないと思います。顧客によってニーズが違って当然です。例えばアパレル系だと、天井高3m、床荷重0.5tもあればいいとするテナント様も多くいます。この場合などは、一種のオーバースペックとなる一方で、空調は効かず、照明の照度も落ちることになり、無駄なことをしていると言えます。もちろん、逆に天井高は10m欲しいというお客様もいます。

―― その場合はBTS型になると。
浦川 お客様の細かいニーズに応えるにはBTS型が必要です。マルチテナント型のように、最大公約数にフォーカスした物流施設開発を望むお客様と望まないお客様がいます。過大、過小のスペックを持った物流施設を作っても、早晩、限界が来ると思っています。

―― 御社のBTS型とマルチテナント型の開発の割合は。
浦川 現在は9:1です。需要を掴むには、顧客の細かいニーズに応えなければなりません。これには当社が61年間のお客様とのリレーションシップを持っており、育ててもらった自負がありますので、貴重な財産として生かしていくつもりです。そこが、他社との大きな違いだと思います。

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