今、物流センターに求められるものは何か/CBRE不動産フォーラム2016

2016年07月21日 

今、物流センターに求められるものは何か ~CBRE不動産フォーラム2016・パネルディスカッション~

CBREは6月3日、不動産フォーラム2016を開催。「新規供給がもたらす課題と機会」をテーマにパネルディスカッションを実施した。

物流施設の新規供給が活発な中、今後の開発での課題や展望を語り、物流施設に「今求められるものは何か」をそれぞれの立場から発言した。

論点は物流施設の供給の増加と懸念、立地と賃料、Eコマースの伸長と物流センターの在り方、物流センターの自動化、ドローン配送サービスは可能かなど。

■パネリスト
アビームコンサルティング/シニアマネージャー 寺西雅尚氏
グッドマン/CEO ポール・マクギャリー氏
GROUND/社長 宮田啓友氏
ラサール不動産投資顧問/CEO 中嶋康雄氏

■司会
CBRE/エグゼクティブディレクター アンディー・ハーファート

<壇上左から寺西雅尚シニアマネージャー、ポール・マクギャリーCEO、宮田啓友社長、中嶋康雄CEO、アンディー・ハーファートエグゼクティブディレクター>
壇上左から寺西雅尚シニアマネージャー、ポール・マクギャリーCEO、宮田啓友社長、中嶋康雄CEO、アンディー・ハーファートエグゼクティブディレクター

供給の増加はチャンスなのか、懸念材料なのか

ハーファート 先ほどCBREの佐藤亘ディレクターより、首都圏の大型マルチテナント型物流施設(LMT)のセクターは新たな供給により、記録的な水準に達するとの発言がありました。また、サブマーケットでは、今後、賃料や空室率はエリアごとに変化が出てくるという指摘もありました。この大量の新規供給はチャンスなのか、それとも懸念事項なのでしょうか。まず、グッドマンのマクギャリーさんから。

マクギャリー 既存の物件の空室率はかつてないほど低水準です。しかし、床の新規供給も過去最高レベルにあり、デベロッパーの立場からするとこの状況には懸念を抱いています。一方、需要も過去最高とのことで、今後も供給が引き続き増加傾向にあることを考えれば、新規開発物件の中にも、場所によってはいずれ高い空室率となる施設がでてくる可能性があります。

ハーファート 寺西さん、テナント側は、供給が増えることをチャンスと見ていますか。必要なスペースをより安い賃料で確保できるようになるのでしょうか。

寺西 さまざまな物流施設が多数供給されることで、テナント側に選択肢が広がることになり、チャンスだと思っています。供給が増えることで、競争が激化すると、不動産開発サイドはよりさまざまなサービスを強化することになりますので、その点でもテナントサイドとしては非常に望ましいことだと思います。ただ、テナントの中身は変わってくるかもしれません。

現在、このような物流施設を借りている企業の60%が3PL企業という数字があります。人手不足もあり、ロボット活用や自動化の流れが始まっていますが、その投資主体は荷主であることが多く、今後徐々に荷主比率が高まってくると思われます。また、もう一つ注視しているのが、先進的な荷主が自ら投資して、こうした物流施設を作っているという点です。これらがどうマーケットに影響を与えているのか、個人として気になっています。

ハーファート 宮田さんは過去に通販業者である楽天で物流を担当していましたが、このような状況でどのように対応していましたか。

宮田 私は7年間楽天で物流を担当しましたが、物流不動産はプロではないのでユーザー側の観点から話しますと、Eコマースが非常に堅調に伸びている中で、物流面では時間配送というものが求められています。そう考えると、当然ながらやはり首都圏を中心とした地域に対して、迅速に届けるネットワークを作らなければならず、おそらく地方に拠点を持っているEコマース中心の事業者が首都圏を中心に、移動してきている状況だと思います。

スピード配送というものがEコマースのサービスの中で無くならない限り、このトレンドは留まることはないと思います。

したがって、今の需要に対する供給は、ある程度合致しているのではないかと思いますし、先ほど寺西さんの話にもあったように、人の確保が難しいというところでどう全面的なサポートをしていくかということが求められていると思います。

ハーファート スピード配送という点から、圏央道沿いの物流施設は首都圏への配送拠点として考えていますか。

宮田 アマゾンを中心に1時間配送が当たり前になりつつありますが、1時間で届けるものはやはり日常的に使うものに限定されると思います。半日、あるいはその翌日には確実にデリバリーする必要性があると考えると、圏央道沿いの物流施設は十分にその範囲に入ります。

ハーファート 中嶋さん、投資家の視点から、供給の増大をチャンスと見ていますか、それとも懸念事項と見ていますか。そして、長期的には投資マーケットに与える影響をどのように見ていますか。

中嶋 供給の多さに関しては、端的に申して、短期的には心配しています。ただし、中長期的にはあまり心配をしていません。2008年、2009年にも似たような状況がありました。

今よりももっと小さいスケールで、テナントにも認知度が低かった時代に、あれだけの供給の中、当時は短期的に空室率がぐっと上がりました。そこに世界的な金融危機も重なり、テナントの動きがいったんピタッと止まりました。

ただ、その後、何が起きたかというと、物流を効率化し、今までの既存の倉庫ではできない仕事を新しい倉庫でするという大きな流れが再確認されたことです。ですから、今回もここ数年間大きな供給があるにせよ、たぶんそれも同じような形で乗り切っていくと思います。

ラサールでは物流だけではなく、オフィスや住宅、商業施設、ホテルなどいろいろなものに投資していますが、物流ほど健全なファンダメンタルズのあるセクターはほかにありません。

日本はすでに成熟国で、不動産の床はオフィスでも住宅でも商業施設でも、もう十分に有り余っています。そこへきて、日本のデベロッパーはさらに床を作っているわけですけど、すでに満ちている世界に新しいものを作ることを考えると、まだ物流の世界というのは足りていない部分がたくさんあります。

私が14~15年前にこの仕事を始めたころに、ラージスケールロジスティクス(大規模物流施設)と称されるセクターは、僅か2%から数%でした。それが東京圏だけ見ると、現在は7%前後にまでなりました。非常に増えては来ていますが、残りの90数%を超えるテナントは古い倉庫で汲々しながらやっているわけで、そういう意味でのファンダメンタルズの健全さは、他のセクターに比べて抜群に良いと思います。

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