日立物流とSGホールディングス、佐川急便の戦略的資本業務提携で3月30日、日立製作所を含めた4社が参加して業務提携について説明した。
<左から佐川急便の荒木社長、SGHDの町田社長、日立物流の中谷社長、日立製作所の斉藤副社長>
資本業務提携については、両社が業務を通じて常日頃から会話の中で自然発生的に業務提携の話につながった。それを1年強かけて、戦略的資本業務提携につなげていったという。
単なる業務提携ではなく、資本も伴う形にしたのは、両社の覚悟を示したもので、「がっぷりと組んでやる」という意思の現れという。また、お互いが自力で展開するにはかなりの時間がかかること、荷主企業の要望なども後押しした。
SGホールディングスの町田公志社長は「相互の強みを最大限に生かせる業務提携だ。荷主にデリバリーと3PLがシームレスにつながる一貫した総合物流サービスを提案できる。さらに、海外展開でも、先進的ロジスティクスチーム GOALをより進化させることが可能となった」と話した。
日立物流の中谷康夫社長は「日立物流はデリバリーの土台がない。このことが協業の動機となった。デリバリーがないとバリューチェーン全体をカバーしていることにはならない。佐川急便との協業により、国内はもとより、東南アジアを中心とした海外でも圧倒的優位に事業をすすめていきたい」と述べた。
佐川急便の荒木秀夫社長は「この協業でコア事業であるBtoBのさらなる強化を図っていく。インバウンド・アウトバウンドの強化、さらにメーカー物流、工場物流まで、より川上を目指していきたい。佐川急便の営業所は452か所あり、昼間はTC(通過型倉庫)として提供することもできる」と話した。
日立製作所の斉藤裕副社長は「日立物流と佐川急便の得意な分野で協業することで、社会イノベーション事業であるプラットフォームを作っていきたい。これにより、トータルサプライチェーンが可能となる。エンドトウエンドのプラットフォームを作り上げる」と述べた。
海外の売り上げについて、日立物流は約2700億円で全体の売上の38%だが、この戦略的資本業務提携で3000~4000億円にしたいとしている。SGホールディングスの海外売り上げは700億円程度だが、1000億円に伸ばしたいという。
また、世界の大手インテグレーターと貨物量や規模、売上高の大きさで競うのではなく、全く違った角度で挑戦できるとしている。その主戦場は国内と東南アジアになるという。
なお、統合については、両社とも前向きながら、基本は協業を開始してからのシナジー効果を見極めることで、それが確認されれば統合に向かうとしている。ただ、最低でも効果の確認に2~3年はかかると見ている。