今後の航空貨物を予測する
現代では、航空機による貨物輸送が当たり前のように行われています。従来は、付加価値がある商品や緊急性がある物だけが航空機による輸送の対象でした。しかし、今では生鮮食糧品や花きも航空機で運ばれています。
またヨーロッパ向けの貨物に目を向けると、船による輸送では約40日の航海日数がかかるところを航空機では1日で到着するため、貨物を早く現金化することが出来るということでキャッシュフローを考えて航空機で輸送しているケースも多々あります。
この世界の航空貨物輸送を2014年の前後20年間の輸送量で見てみると、1994年に1,000億トンキロだったものが、2014年には2,200億トンキロというように2.2倍だったことがわかります。
これから20年後の2034年にはさらに2.4倍の約5,300億トンキロになると予測されています。
当然、現在の機材数では足りるはずがありません。
2014年の世界のジェット機の機材数は19,877機でしたが、20年後の2034年には現在よりも17,270機が純増し37,147機になると言われています。
これらのデータから、今後20年間は航空貨物が益々増加することでしょう。
しかし、日本発着貨物がその恩恵に預かることが出来るかどうかは疑問が残るところです。それは、航空貨物の需要が中東とアセアン地域を中心に増加すると想定されているからです。
そのうえ、今のままでは日本は世界からますます取り残されていくことでしょう。
その一つの要因は、日本の飛行場の航空機の発着費用が世界の飛行場と比較して数倍から10倍以上高いということです。
このため、発着費用が安い香港、ソウル、シンガポール等にハブ空港がシフトしました。これら一度離れてしまった航空機を日本に呼び戻すには相当の努力が必要です。
もう一つの要因は、日本の主力飛行場である成田、羽田、セントレア、関空の発着枠をこれ以上増やすことが難しいということです。ですから、世界の航空機の機材数が増加してもそれを日本で受け入れることができないのです。
それを解決するためには、地方空港を有効に使い日本への発着便枠を増加させなければなりません。
ただし、地方空港を使用した場合に、その空港から各地へ輸送するためのロジスティクスコストが上がらないような対策を取らないと、仮に旅客が増加しても貨物が集まらないという事態になるでしょう。
行政の現実を見据えた施策が今後の日本の航空貨物需要を左右することになるのです。
■物流・貿易研究所
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