2015年1年間の貨物輸出量
2015年1年間の貨物輸出量を振り返ってみたいと思います。
近鉄エクスプレスが発表した航空輸出混載重量の前年比率を見てみると、2015年1月は140%、2015年2月は175.5%、2015年3月は145.3%と異常ともいえるほどの増加率でしたが、2015年4月には106.6%と正常値に戻っています。
この数字は1社だけの実績であるため、一般社団法人航空貨物運送協会(JAFA)が公表している日本全体からの航空貨物輸送量を見てみましょう。
ここでは国別、そしてTC-1,TC-2,TC-3という地域別の貨物輸出量を見ることが出来ます。図1はJAFAが公表している数値を基に筆者が作成した、日本からTC-1向けの航空貨物の輸出量の月別推移です。
TC-1とは、航空業界特有の地域を表す用語であり北米と南米を指すものです。ちなみに、TC-2は欧州、アフリカと中近東、TC-3はアジアとオセアニアのことです。
TC-1向けの貨物量は米国向けが80-90%を占めるため、それは実質的に日本から米国向けの航空貨物輸出量であるといえます。
この表でもやはり2月と3月の輸出量が突出していますので、近鉄エクスプレスの実績が特定の企業1社に特化した数字でないことが証明されました。
この要因は、米国西海岸の港湾ストによるものです。
港湾ストは2015年2月20日に解消されましたが、港湾の混乱が3月末まで続いたことで西海岸経由の輸出入海上貨物に大幅な遅延が生じました。
それを回避するために各社共に海上輸送から航空輸送へ切り替えたことから、この時期に集中して航空貨物量が増えたのです。
Zepol社の、アジア発米国向けの海上コンテナ輸送量を見てみると、2014年12月は前年同期比7.2%増、2015年1月は同17.0%減、2月は同3.7%増、3月は同32.0%増と公表しています。
アジア発米国向け海上貨物は約1ヶ月のリードタイムがかかることから、西海岸で発生したストが終息するのを待って海上便の使用を開始したということが良く分かる数値です。
また、この時期の新聞記事では、スバルが海上便から航空便へ切り替えたことにより月々70億円のコストがかかると表明。その他、北米食肉協会では輸出できない肉類の保管料金がかさみ1日当たり8500万ドル(約101億円)の損失を計上という報道がありました。
このように、数字は継続して見ることと周りの状況を考え合わせることで原因と傾向が分かるというものです。
■物流・貿易研究所
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