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TPPと物流戦略/今後の輸出入量は?

2016年01月14日/調査・統計

TPPと物流戦略

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物流・貿易研究所
代表 木村 徹

12月22日の日通総研のレポートに「TPP大筋合意により輸出入貨物量の増加につながる見込みである」と書かれています。これは、TPPが発効することにより参加各国で輸入関税が撤廃され、モノの移動が活発になるためです。では、どのようなモノの移動が活発になるのでしょうか。

メディアでは関税率に関する話題が多く上っていますので、まずは、この関税率について見てみたいと思います。

日本の場合、関税定率法で規定されている品目を表した「HS番号」毎に関税率が定められています。

このHS番号は、世界180の国と地域が加盟している世界税関機構(WCO: World Customs Organization)が取り決めている番号に日本独自の細分を付けた9桁の番号です。このHS番号は、世の中にある全てのモノを番号化しています。WCOに加盟している国の貿易取引量は世界の98%にも上ることから、HS番号は実質的な世界標準であると言えます。

例えば、乗用車の場合(1)雪上走行用車両及びゴルフカー、(2)ピストン式火花点火内燃機関の車両、(3)ピストン式圧縮点火内燃機関の車両、(4)その他の車両に分類され、さらに各々がシリンダー容積(排気量)によって分類されることで9種類に細分されています。また、乗車人員が10人以上の車両、貨物車両、トラクター等は別の品目番号が割り当てられています。

<税関HPから抜粋>
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http://www.customs.go.jp/tariff/index.htm

前述のように、今後TPPが発効されることで輸出入量が増加すると言われています。

どのようなモノが増加するかが事前に分かれば、それによって増加する品目別の対策がとれるというものです。そして物流企業では、それに合わせて倉庫の拡張、輸送機器やマテハン機器等の準備を行うことが出来ます。

例えば、コメであればTPP発効後に米国から5万トン、オーストラリアから6千トンの輸入量が増加します。これは、海上コンテナ数に換算すると約3,000本に相当します。そして、これだけの量のコメを保管するスペースも必要になるため、政府米を扱っている倉庫業者はTPPにより取扱量が増えるということです。

また、日本郵船は最新鋭の40フィート冷凍コンテナ5,500本の調達を決め、昨年11月から本格的な導入を開始したと発表しました。これはまさにTPPを意識したものに違いありません。

その他のモノでは、プラスチック製品、繊維製品で、TPP発効後に関税が即時撤廃される品目が多いことから、輸入量が増加する可能性が高いと想定できます。つまり、これらを保管するために必要なスペースも増えるということです。

このように、TPP発効前後の関税率を見てみることで今後の物流戦略を考えることが出来るのです。

<経済産業省HPから抜粋>
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TPPによる低い関税率を適用するためには、原産国基準や積送基準等の各種決まりがあるため、それらを把握していなければTPPによるメリットを享受することができません。

そのためには、関税法や関税定率法等の法律知識が不可欠になります。

■物流・貿易研究所
物流・貿易研究所は、物流のコンサルタントと改善。貿易、国際物流、関税問題やFTA・TPPに関するコンサルタントを行っている団体です。

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