井本商運は12月18日、横浜港の大さん橋で国内最大の540TEU型内航コンテナ船「なとり」を公開した。
「なとり」は、球状船首ブリッジ。コンテナ船では世界初で、操舵室・居住区を船首に配置している。ブリッジからの視界を良好にし、コンテナ積載効率を向上させ、機関室の騒音影響を少なくしている。
船首を球状にすることで、正面風圧抵抗を従来同船型に比べ、約30%低減し、近海の平均海象で約3.2%の燃料費削減が見込まれている。
高効率プロペラや低燃費型船底塗料など他の設備と合わせると、複合的効果として、約9.5%の省エネが可能となった。
コンテナ積載時の積載状態と復原性をより正確に確認するため、ローディングコンピューターシステムを設置し、本船と陸上間のデータ通信により、情報を共有し、航海の安全性を高めている。
航海状況監視カメラを搭載し、海象状況や荷役状況の画像情報を船室およびサロンのテレビモニターで確認することができ、インターネットを通じて陸上のパソコン、スマートフォンでもモニターが可能だ。
井本商運の井本隆之社長は「阪神港と京浜港を中心とした国内のネットワークがようやく構築できた。2013年に竣工した400TEU型と同様、今回大型のコンテナ船を就航させたわけだが、これまで積み重ねてきた内航フィーダー輸送の経験を生かし、世界標準である「ISO規格海上コンテナ」を国内物流に投入し、新しいコンテナ海上輸送を目指す。大型船の強みを活かして、地方港からハブ港湾への集荷を図ることと、陸運から海運へのモーダルシフトを目指すことで、最適輸送を提案したい」と話した。
なお、「なとり」の就航航路は東京/横浜~神戸~門司~博多~神戸~東京/横浜を予定している。