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経産省/メコン地域のサプライチェーン拡大と最適化でビジョン発表

2015年08月25日/調査・統計

経済産業省は8月24日、マレーシアで開催された日メコン経済大臣会合で、2016年から2020年の5年間のメコン地域の産業発展の道筋とそれを実現化するための政策の方向性を提言した「メコン産業開発ビジョン」が採択され公表した。

ビジョンの実行により、メコン地域において、今後5年間で約200億ドル、同地域のGDPの2%相当の押し上げを見込んでいる。

<メコン地域の現状>
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<海外直接投資増を誘引>
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メコン産業開発ビジョンによると、現状を主要産業の上流から下流まで、また、大企業に加え中小企業を含めた裾野の厚い産業集積が存在し、製造業を中心に周辺国に労働集約的な工程の移転を進め、国内産業の高度化を同時に達成する「タイ+1」の動きが顕在化と分析。

これまで見られた「チャイナ+1」の動きとともに、国境を越えたサプライチェーンの拡張が、カンボジア・ラオス・ミャンマーに工業化の黎明期をもたらしている。また、国境を越えたサプライチェーンは、南・中・北ベトナムが構築中のサプライチェーンともつながりつつある。

投資家はメコン地域のみならず、中国・インド・他の ASEAN 諸国を含めてアジア全体でのサプライチェーンの最適化を図る。今後の10年を見据えた場合、メコン地域への投資の流れは永続的なものではなく、条件次第で変わり得るものであることを明確に認識し、各国が「強み」に特化し、「弱み」を補完する地域一体的・持続的な取組が更なる成長の鍵となるとしている。

今後の課題の中で、物流関連では、より洗練され、多様なサービスを提供することを通じた近代化が物流コスト削減の重要な要素となっており、保税制度の着実な運用、混載サービス及びコールドチェーン開発促進のための施設整備等を含めた努力が求められる。

さらに、近代的な国際輸送サービスを発展させるためには、不法ないし届出・許可のなされていない国際貨物移動は適切に規制されなければならない。同時に、道路を含めたハードインフラは、全てのメコン諸国の「公共財」であり、その品質を工業利用可能な水準に保つためにも既存の交通規則(過積載等)の着実な履行を強化しなければならないとしている。

越境交通協定と関連する二国間・三国間の覚書については、域内物流の円滑化に向けて未だ課題も多く、より現実的・実効的なものにしていく努力が求められる。

具体的には、主要国境地域での共通コントロールエリア(CCA)でのSWI (Single WindowInspection)、SSI (Single Stop Inspection)の速やかな導入が検討されるべきである。

また、それら協定の文言に従った、きちんとした運用、およびその適切な普及が担保されねばならない。更に、いくつかの覚書においては、産業界の貨物需要に対応し、柔軟に越境交通ライセンス数の増加が検討されるべきであるとしている。

今後の対応の方向性では、メコン地域の相互補完関係の深化、サプライチェーンの更なる拡張・新設に向けて、近隣国とのパートナリング、高度な産業構造への足掛かりの構築、地域のバリューチェーンを支えるインフラ・リソースの強化といった柱が必要となる。

メコン地域横断の取り組みは2020年までの実行を目指し、約 200億米ドル、メコンGDPの約2%のGDPの増加を狙う。これにより、メコン地域がASEANのValue Chainの中核地域となり、隣接する中国・インド等の巨大経済圏の成長の果実を取り込み、さらなる経済発展を遂げる礎としていくとしている。

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