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ダイワコーポレーション/曽根社長、トップインタビュー

2014年11月26日/物流最前線

4万坪を超える物流施設を新たに確保、新事業も展開

物流施設のコンサルティング営業を行っているダイワコーポレーションは、2016年までに新たに4万坪を超える物流施設を確保。現在の所有物件を加え、約17万坪の物流施設を運営することになる。「物流施設は過剰気味」「多少の規制も必要」と言う曽根和光社長はそこから新たな事業の展開にも目を向けている。

<曽根和光社長>
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物流施設の供給は潮目が変わった

―― 現在の倉庫事業の環境は。

曽根 昨年あたりから倉庫のハードの面では、設計・施行の単価が急上昇しています。物流関係の諸費用も上昇しており、ハードのみを販売していくのは、なかなか至難の状況になっています。倉庫の賃料が上昇傾向だとまだ良いのですが、各種調査機関などが発表しているここ数年の賃料上昇のデータには首をかしげざるを得ません。上昇している実感はあまりありませんね。

―― 賃料は増加傾向では。

曽根 歴史的に見ても、物流施設は一般商業ビルやオフィスビルと比べ、賃料の動きは半年以上の遅れがあります。動きが小さければ変化のないこともあります。現実には微増とも言い難いと思います。

―― 今後はどうでしょう。

曽根 今回はゼネコンによる建設コストが急上昇している背景があり、賃料値上げを受け入れてもらえる環境にはなりつつありますが、私たちの努力とともに、国などの公的機関もさまざまな支援策を展開していく必要があると思っています。

―― 現在も先進的で巨大な倉庫が次々と誕生しています。

曽根 そうですね。巨大外資や国内有力企業による物流施設開発が続いていますが、営業倉庫事業者の立場からは多分に供給過剰の印象を持ちます。国による若干の規制も必要な時期にきているのかもしれません。2020年の東京オリンピックまでは大丈夫という根拠のない話も聞かれますが、物量が着実に伸びていないと、どこかで供給過多、飽和状態が訪れると思います。その時に、リスクをどう回避していくかは企業経営では大きな課題になります。

―― 物量が輸出入ともに伸びていれば問題ないと。

曽根 輸入増大による物量の増大ももちろんありがたいですが、やはり日本は輸出増大を目指さないと先が見えてこないと思います。貿易赤字が膨らむばかりですからね。そのためには、メイドインジャパンの復活と、TPPに期待したいのですが、解決にはなかなか時間がかかりそうです。輸出、輸入ともに伸ばす政策を国を挙げて実行していかないと、日本の経済自体が沈んでしまいます。

―― 難しい時期だと。

曽根 難しいですね。物流施設に関しても、これまでは立地や賃料が重要視されてきましたが、今後はそれにプラスして労働力の供給が鍵になります。人を集めやすい場所に立地することが問われてきます。営業倉庫事業からすれば、供給過多から「倉庫余り」の時代になることだけはどうしても避けたい。当然賃料を下げてくる事業者もでてくることになりますからね。潮目が変わってきたと認識しています。 

<船橋西浦営業所>
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<本牧物流センター>
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<レッドウッド千葉北>
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新規の良質物件を早期に確保

―― 難しい時期となる今後の展開は。

曽根 倉庫建設コストが急上昇しているだけに、早い時期から手を打っておかないと勝負になりません。新規の良質物件を早い段階で確保するには、それこそ「目利き」が必要です。

―― 具体的には。

曽根 今後2年間で竣工する物流施設の内、すでに、3物件と契約しています。まず、三井不動産が建設している2015年2月末竣工の船橋西浦営業所があります。延床面積約3万1034㎡、二俣新町駅から徒歩13分です。三菱商事都市開発が開発している横浜市中区豊浦町の本牧物流センターは延床面積6万9819㎡、竣工は2015年12月末です。さらに、千葉市花見川区犢橋町にレッドウッドが開発しているレッドウッド千葉北は延床面積3万7832㎡、竣工が2016年2月です。坪数で言うと合計4万坪を越える物件になります。

―― テナントの成約状況は。

曽根 まだほとんど決まっていません。これら3物件は立地からしても今後重要な場所であるという確信のもと、契約したものです。契約が遅れるほど単価は上がってきますので、顧客に適正な価格で提供するためにも、いち早く確保しておいたものです。特にレッドウッド千葉北は国道16号線沿いに位置しており、私どもの従来の顧客とは違った業種の方ともおつきあいできる場所だと思っています。

―― リスクが大きいのでは。

曽根 リスクは考え方です。現在13万坪の物件を保有していますが、もし1万坪の顧客が離れると1/13のリスクですが、4万坪を増やせば1/17のリスクになり、リスク率は減ります。今後は薄利多売の傾向が強まると感じており、そうなると全体のパイを増やせば増やすほどリスクは低減するということです。この物件についてはそういうふうに考えています。

―― リスク管理については。

曽根 私が入社した時に感じたのは、契約を結んで倉庫が埋まれば、それで営業は終了というものでした。経済が順調に発展していた時期は営業倉庫の経営は、満庫になれば新規の荷物や形の違う荷物は断り、後は左うちわだったと思います。しかし、私はとても不安を感じました。満庫であっても契約が切れれば顧客は離れてしまうかもしれない、その時にどうするのかと。契約した段階で解約までのカウントダウンが始まるわけです。そこでサテライト構想で、外部に再保管の施設を周囲に準備するなどリスク管理に努めました。さらに、顧客のニーズをアンテナを張って常にキャッチし、サービス向上につなげていくことを心がけています。

売上高を15年間で4倍、社員教育に力を注ぐ

―― 社長としての経営ポリシーは。

曽根 22年前に商社員から入社し、社長になって4年目を迎えています。売上高は15年間で4倍になりました。これは社員の力の向上そのものです。その間「永久(とわ)に未完成」という言葉を大切にしています。仕事には終わりも完成もなく、永久に続くものだということです。例えば顧客との契約が決まった事は完成ではなく、途中経過に過ぎない。顧客との付き合いは続く。そして、学ぶ姿勢を持っていればどんな難題も解決の糸口が見えてくるものです。

―― 社員教育は。

曽根 机上での研修などではなく、現場で学ぶことを徹底しています。商社時代はモノを仕入れて、それを販売する、そのために市場環境や消費傾向まで綿密に調べることの繰り返しでした。営業倉庫事業でも、アンテナを張り、常に顧客のニーズを掴みそれを先取りしていくしかないと、社員の意識改革から取り組みました。同業他社さんとのネットワークづくりもしかりです。

―― ネットワークづくりでは、倉庫青年経営者協議会(倉青協)の会長です。

曽根 2013年の6月に会長に就任しました。41年前に50歳以下の営業倉庫経営者の集まりとして発足しました。現在、過去最多の150名の会員を擁しています。年に3回の全体会議を行い、情報交換やネットワークづくりに役立てています。国交省の参事官にも参加いただき意見交換しています。任期は2年ですので、2015年の6月まで会長ですね。

―― 読者にメッセージを。

曽根 ダイワコーポレーションは倉庫というハードとオペレーションのソフトを持つ営業倉庫会社です。コンサルティング営業を心がけており、顧客のニーズに応えて外部の会社を紹介することもあります。要は顧客にとってベストな選択ができる材料を提供できる会社です。その点で新規事業として、これまでの経験を活かして、物流施設の設計・施行に関してのコンサルティングを行っていくつもりです。すでにスタートしていますが、ゼネコンさんとの協議、ボリュームの相談など、あらゆることに対応できます。最初からハードもソフトも獲得するスタンスではなく、それぞれで他社さんと競争していきたいと思っています。最適なモノを最適なカタチで提供できると自負しています。ぜひ、多くの方に利用していただければと思います。

<趣味はゴルフと筋トレ。ゴルフはコースに出るより練習場が好きだという曽根和光社長>
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■プロフィール
生年月日:1968年2月11日生まれ
学歴
1990年3月:慶応義塾大学経済学部卒業
職歴
1989年4月:大和実業 取締役就任
1989年8月:社名をダイワコーポレーションに変更
1992年10月:ダイワコーポレーション入社
1993年8月:同社平和島営業所所長代理
1994年4月:ダイワコーポ―レーション 総合企画室室長
1996年4月:同社取締役流通加工事業部事業部長
1997年4月:同社取締役経営本部本部長
2001年4月:ダイワコーポレーション 専務取締役
2008年11月:ダイワコーポレーション 代表取締役専務
2011年10月:ダイワコーポレーション 代表取締役社長
      現在に至る 

■ダイワコーポレーション
http://www.daiwacorporation.co.jp/

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