紀文/RFIDによるカゴ台車管理、紛失が大幅減少

2013年08月09日 

紀文食品グループの紀文産業では、カゴ台車(以下:台車)の管理にRFIDを導入して、資産管理の徹底を図り物流効率化、台車管理システムの外販を進めている。

食品物流を携わるグループの紀文フレッシュシステムも含めた食品流通分野では、パレット、台車、通い箱、通いトレイなど様々な流通・物流効率化機器が浸透しているが、それぞれの管理は、各流通分野で大きな課題となっている。

<食品流通現場で使われているカゴ車>

台車は、物流拠点の運営会社、食品メーカなどがそれぞれが購入しているが、年間1割ほどの紛失が一般的といわれている。

台車といった物流機器が資産としての認識が低く、現場での「台車が不足している」「台車がない」といった要請に、資産としての管理意識が低く、なければ他社のものでも使用してという意識が強いのが現状といわれている。

紛失は、物流センターで出入りする企業での流用が多いが、新しいものからなくなるケースも多く、店頭で流用しているケースもある。

リースによる導入とするとリース期間5年の場合、5年で5割が紛失し、その分の追加購入を毎年しなければならず、大幅なコスト高となっているのが現実だ。

企業によっては、紛失した台車、パレットなどの弁済を求めているケースもある。

台車の回収は、直接の関係企業に対して積極的な呼びかけを行っているものの、具体的にどの台車がいつ渡ったかという情報を提供することで、管理面を強化する方法が、考えられ、バーコード、RFIDによる管理が進められている。

紀文産業でも5年前、台車の管理にメスを入れ、世界のEPCグローバル基準に沿ったRFID導入に踏み切った。

<台車のパイプに装着のため、RFIDを組み込んだ「輸きち」>

既存台車での導入が容易にするため、RFタグを組み込んだ装着治具「輸きち」を開発し、2011年には特許(特許公開2009-214736)も取得した。

<専用タグ>

<台車に取り付けた「輸きち」>

台車の管理方法は、拠点の出荷時にハンディターミナルかゲート式によりRFIDを読み取ることで、出荷・出荷先での入荷・貸出の状況を常に把握する「輸きち管理システム」で管理し、台車を利用するそれぞれの企業で、常に台車の利用状況を把握できるようになっている。

<ゲートのアンテナと受信システム>

例えば、台車の取引明細を出荷ごとに出すことで、常にどの台車がどこにあるのかを取引先に知らせることで、回収を促すことができる。

約3年間の実運用によって、紛失は1%に減少し、システム導入費用を上回る効果を生み出している。

結果、カゴ台車の補充が無くなり、誤配・破損・遅刻が激減し、納品遅刻はゼロとなった。

さらに、棚卸時間が以前は約5日間掛っていたのが1時間以内で完了するようにまでなるなど、広範囲のメリット・効果を生み出すことになった。

このノウハウを基に、最新の「輸きちIII号」では、コンパクト化、専用ICタグの高性能化、シリーズ化(各種パイプ形状に対応して3種類)するとともに、コストダウンを実現している。

サイズは従来の20%短縮し、長さ86mmと小型化し、25.4φの鉄パイプ用だったのが、入駒方式により3種類(Aタイプ30×20mmパイプ用、Bタイプ25.4φパイプ用、Cタイプ14×14mmパイプ用)の鉄パイプに取り付け可能となった。

価格は5,000個を1生産ロットとし、標準希望価格は専用ICタグ付きで1個800円に設定し、約30%のコストダウンを図っている。

また、輸きちIII号付の台車の販売を展開することで現場での取り付け作業を無くし、スムーズなカゴ台車個体管理の導入が可能となった。

<セミナーに、熱心な受講者>

7月31日には、紀文産業の取引先を含め、様々な分野でRFID利用の促進、検討を進めている企業向けに最新の成果について、セミナーを事務所会議室で開催した。

大手スーパーでの利用も始まっているが、より積極的な利用促進を図るため、台車紛失の実態を明確にするとともに、台車管理のシステム化を普及させなければ、流通分野での物流効率化を促進するのは困難との思いで、情報公開に踏み切ったのだ。

同社では、台車管理をするだけでなく、WMSとの連動により、各台車にどの商品、着先情報等を紐づけることで、在庫管理、納品管理との連動を図り、業務の効率化、データの重複作業の払拭などを進めている。

このため、台車の「輸きち」のち取付位置、タグの受信エリアの改善により、いかに物流現場での業務を増やさずに、導入できるかも重要なポイントとなっている。

セミナーでは、機器の機能レベル、台車紛失の実態、RFIDとバーコード導入との違い、現場でオーバーワークの懸念、実運用での課題など、具体的な質疑応答が、進められた。

同社では、大手食品卸などの導入が決まるなど、今後も積極的に利用拡大を図る考えだ。

■紀文産業
資材部
TEL:03-6891-7210
http://www.kibun-ti.co.jp/packaging/index.php#yukichi

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