3PLという名の虚像/投稿

2012年08月27日 

■3PLという名の虚像(第1話)

3PLを離れてはじめて見えてきたもの

「荷主企業に対して物流改革を提案し、包括して物流業務を受託する業務」(総合物流施策大綱)

「荷主企業に対してその立場に立ってロジスティクスサービスを戦略的に提供する事業者を活用すること」(日本ロジスティクスシステム協会)

よく知られているように、3PLには上記の2説があります。

ところが、これから私の語ることは、きっとあなたに驚きの現実を知らせることでしょう。

なぜなら、3PLという言葉から私たちが思い描くものが、まったく異なるものを指すというのが、私の意見だからです。

生産者と販売者という概念

世の中には、2種類のビジネスマンしか存在しません。製品を生産する者・商品を流通させる者・サービスを提供する者と、それらを販売する者の2種類です。

物流というビジネスにも、トラックによる物品の輸送を行う者や、倉庫を高度に活用して物流センターというサービスを提供する者があります。その中に、荷役を請け負う者や、作業員を派遣する者も出てきます。

ところが、90年代半ばよりデフレ傾向が強まり、少ないビジネスチャンスを、何とか掴んで仕事にありつかねばならなくなりました。生き残りを懸けてシノギを削る時代になったのです。

そこで他業界に劣らず、物流業界にも、マーケティングの波が押し寄せてきました。

マーケティングの重要な任務は、差別化による販促です。

3PLとは本来、マーケティング武装によって物流機能を売ることだったのです。

様々なる意匠

このあたりから20年、物流技術はまったく歩みを止めてしまいます。それがはっきり分かってきたのは、つい最近のことです。

SCMやら、WMSやら、ERPやら、まことしやかな方法論が輸入されました。それを使った提案書も数多く作成されました。

ところが、コンペやビットの依頼者も、それが絵に描いた餅であることを察知していたものですから、提案書の見た目で2~3社に絞りながら最後は、価格競争と言う名の値引き合戦をさせたのでした。

結局現在、在庫管理どころか、帳簿在庫と実棚を合せることすらまともに出来ない、物流事業者でさえも、3PLを名乗るようになっています。

せっかく新規開拓で得た業務であるのに、立ち上げに失敗し、大赤字を出して撤退という憂き目を見ている事業者も少なくないと耳にします。

このように、しばし3PLに酔い痴れた後、私たちの物流業界はいつの間にか、色とりどりの羽を拾い集めたカラスの集団のようになってしまいました。

■「3PLに求められるもの」(第2回)

前話で3PLとは、他人の作った物流商品をその人に代わって販売する人だと述べました。

したがって、物流不動産・サブリース・ミズヤもブローカーも、3PLだと言えます。

“3PLは結果を出す力を持て”

要するに、物流セールスを業としている者はすべて3PLであるということです。だから彼らは、マーケティング力やプロモーション力を持つものでなくてはなりません。しかも、すべて成功報酬でセールスを行う者こそ、理想とされるべきです。

倉庫賃貸借のサヤ抜きは確かに経営的には安定した利益をもたらしてくれるでしょう。しかしそれに頼らず、取り扱い貨物で1個あたり数円数銭の薄利を積み重ねることに、無性に快感を覚えるという人たちのためにこれを書いています。

例えばそれは共同配送です。

これにまともに取り組んでなお、利益を出していますというところがあるならば、事業規模や売上高に関係なく、優れた物流事業者です。

真の3PLはリスクを背負う。

クライアントと世の中のために。しかも中には、クライアントの売りを担う者さえあると聞きます。もう、ミスが少ないとか、コストを下げますというレベルの話ではないのです。

“3PLの6つの条件”

さて、3PLがマーケティングのプロだとしたら、どうしても不可欠な条件があります。

1.戦略があるということ
戦わずに勝つという、あれです。つまり、最上の3PLはコンペやビットに参加することなく、仕事を得ています。正面衝突するような、徒らな自軍の消耗を避けているということです。

2.中枢を掌握するたったひとりの参謀役が存在する
彼は所属する組織によって造られます。科目は主に読書と旅行。

倉庫を外から眺めて、壁が透けて中が見えるまで、鍛錬されます。走っているトラックも同様に運んでいる貨物が見えるようになっています。すなわち、勤務時間外をも投入するような大バカです。

3.差別化アイテムが作れる
自社の強みを、荷主(クライアント)の課題・問題解決に活用する提案ができる。

自社の強みとは言いましたが、もともと、特有のサービスを持っている必要はないのです。

クライアント案件に対応できればよいのです。短時間で作れることが大事なのです。それ以上に重要なのは、クライアント要件を余すことなく抽出できる手腕です。

4.商売人気質
好きな言葉は「薄利多売」。

最初は無料で与える。与えまくる。お客さまに喜ばれ、従業員にも喜ばれ、世の中の役にも立っているのです。その信念と気概が在るかということを、ここでは問いたいと思います。

5.稼ぎの筋道が明確
それでいて、しっかり稼ぐ。

そのためのメソッドが確立されているのです。利益確保の望めない仕事と利益確保の望めない仕事を組み合わせて、利益を出せる魔法使いなのです。

6.失敗することを厭わない
反省はするが、悔やまないということです。

勝敗は常に紙一重であり、首の皮一枚つながっているだけです。これを楽しむ境地が、3PLだと思うのです。

と、いろいろ挙げてきましたが、これを全て補完してこそ3PLの称号を与えられるのだ、とは言いません。今はゼロでも構わないのです。旗を掲げていればそれでいいのです。

■3PL話の最後に、3PLの活用法をご伝授いたしましょう。(第3話)

“あなたが物流事業者なら、販売代行をお願いすること”

マーケットイン・プロダクトアウトという言葉をご存知でしょうか?訳しますと、市場から入り、ものづくりに繋げよという意味になると思います。

これは、市場ニーズを無視してものづくりにこだわるな、それに経営資源を掛け過ぎるなという戒めであります。

それでも物流は、どうしたって現場主義になり勝ちです。ミスを何とかゼロにしたい、ボトルネックを解消して残業時間を減らしたい。その気持ちは良く分かります。

一方で生き残りを懸けて、新規開拓セールスも推進しなければならない。その切実さも痛いほど分かります。

だとしたら提案ですが、新規開拓を他者に委託してはいかがでしょうか?
3PLという他者に委託してはいかがでしょうか。

“あなたが荷主なら、クライアント要件を取りまとめてもらうこと”

コンペやビットをするにあたり、何が要件となっているか、ご存知ですか。把握していますか。モレ無く抽出されていますか。

それからフローチャートは書けていますか?業務構造図は書けていますか?ワークパッケージとかアクティビティとかは、きちんと仕分けされていますか。その望むべきKPIは算出されていますか。

出荷ケース数のエクセル表を作っただけで、信頼のおける物流のパートナーを見つけようだなんて、よっぽどどうかしていると思いませんか。

提案ですが、こうしためんどくさい作業を、誰かにお願いしてはいかがでしょうか。

“それが2者の独善になっていないか、判断してもらうこと”

これは一種のマッチングビジネスなのです。3PLというのは事業者のことですが、その実態は情報仲介を意味しています。というか、ビジネスというのは本来、何かと何かを「マッチング」させるという原理の上に成り立っているのです。

実際、自分だけのものなんて存在しません。自分だけで、まったくの無から何かを生んだ人などいやしません。過去に誰かが作ったものを、少し大きくしたり、小さくしたり、色をつけたり、二個一にしたり。そんな風に、応用したり変化させたりしては稼ぐネタとしてきたのです。

だから、いろいろな物流形態・物流サービスが存在し、物流ニーズをマッチングさせるのに、それはそれで専門知識が要るのです。最適解を導き出すのは一種の芸です。

そしてその解が、ほんとうに消費者や最終ユーザーや、世の中に、正しいものを提供しているのかを検証する必要があるのです。それを誰が担うのでしょうか。

別の観点から言わせて頂けるなら、私たちには真の3PLを育てる義務もあると言えるのではないでしょうか。美味しいラーメン屋はお客によって作られるというのが真理なように。

■執筆:江島 裕氏(ロジスティクス&ビジョン代表)

■ロジスティクス&ビジョン
http://www8.plala.or.jp/logivision/index.html

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