アスプローバ/高橋邦芳社長、SCM改革

2012年01月30日 
製造業から小売業まで
サプライチェーンの全体最適を強力支援

「生産計画スケジューラApsrova」開発で高い導入実績を誇るAsprova。1990年代、不可能とされていた汎用生産スケジューラパッケージソフトを低コスト、短期納期で実現したからだ。これまでに、世界1600以上の導入実績があり、国内シェアは48.8%(富士経済調査)と圧倒的なシェアを持つまでに至った。

システム設計を手掛けた同社高橋邦芳社長はすでに次のアイデアを温めていた。しかし、それを実現するためにはCPU とメモリの能力向上を待たねばならなかった。

そして満を持して2010 年6 月発売したのが「AsprovaSCM」だ。高橋社長に開発経緯から今後の展開までを聞いた。

「役に立つものじゃないと支持されない」
という当たり前のことに気付く

<高橋邦芳社長>

――まず、御社の商品についての開発の経緯から聞かせてほしい。

高橋 大学を卒業してから数年間はベンチャー企業で人工知能の開発・研究を行っていましたが93 年ごろから人工知能ブームが去り、これでは食っていけないので、産業界の要望でありユーザーにとって経済的な効果も大きく実現可能なものとして生産計画スケジューラを開発分野として選定しました。

1993年から開発を始めて商品化し、2001年に「生産計画スケジューラAsprova」をゼロから設計しなおしました。そのときに、「製造業の利益増大」を一つの設計目標にしました。

製造業の利益増大の第一ステップは「見える化」です。部品表、生産スケジュール、設備負荷、在庫などを見えることができるように設計に取り組みました。

低コスト、短納期で「生産計画スケジューラ」は大ヒットを記録

――アスプローバというと「生産計画スケジューラAsprova」ですが、現在どのくらいの工場で利用されていますか。

高橋 これまでに全世界1600サイト以上の工場に導入されています。1996年には日本でトップシェアになり、2009年には48.8%、2011年のシェア率は53.4%(非公式)でした。日系企業は約8割から9割前後ですね。

――ヒットした要因とは。

高橋 一番は実際に導入して役に立つ、ということでしょう。それとともに、低コスト、短納期は企業には非常に大きな点になります。

それまで、大企業が何億円という資金をつぎ込んで長期間開発に費やして導入していたものを、パソコンで簡単にできてしまうものですから、当初は疑われましたね。こんな低コストで大丈夫か…と。(笑)

しかし、ここにたどり着くにはパソコンの能力、メモリの能力向上などを待たねばなりませんでした。当時Windows3.1 にメモリ640KB では使い物になりませんでした。そこでWindowsNT に移植して発売して、ようやく成功を収めました。

生産工場から小売業まで「AsprovaSCM」展開広がる

<サプライチェーンの予測できない変動>

――環境が整い「AsprovaSCM」につながったと。

高橋 「AsprovaSCM」の開発は以前から準備をしていたこともあり、比較的順調に開発は進みました。実は、「生産スケジューラ」の開発を進めていたとき、2006 年米国のMIT(マサチューセッツ工科大学)でSCMの講義が2 週間ほど集中してあるということで、参加してきました。

世界第一線の研究者の講義とディスカッションに参加し、世界最先端のSCM を体験できたと思います。

さらに、2008年にはクラウドという言葉の載った本を手当たり次第に読みふけりました。そして、64bitのマルチコアCPU、数十ギガバイトのメモリが登場するにあたり、SCMを開発するタイミングが来たと確信しましたね。

――基本的な設計方針はどのようなものでしょうか。

高橋 基本的な設計方針は3 つあります。その一つは「高速・スケーラブル」、低価格のマシン環境から大規模なクラウド環境まで高速に動作することを目指しました。

二つ目は「高機能・シンプル」ということで、多彩な機能により、カスタマイズ開発は不要、ユーザーが自力でプロトタイプを作成し、自力立ち上げが可能ということです。

三つ目が「ローコスト・短納期」ということで、トータルコストダウンと立ち上げ期間短縮を実現することでした。

――サプライチェーンの重要性が、さらに高まっています。

高橋 東日本大震災、タイの洪水といった不確定な要素に対して、いかに対処できるかがサプライチェーンマネージメントの重要な点です。私どものソリューションは、そういった対処を前提としたシステムになっています。

<Asprova SCM の概要>

――具体的には。

高橋 生産計画スケジュールの数多くの導入実績の結果、調達、販売、グループ内の海外の生産拠点での精密なスケジュール管理システムを提供することで、必然的に、サプライチェーンの課題を克服することが重要になっていました。

工場内のスケジュールをサプライチェーンに置き換えると、国内でもクローバルでも、そこには物流制約を加味する必要が出てきます。他社からの生産調達、グループでの生産、販売におけるボトルネックが見えてきます。

生産の現状について、例えば、船舶輸送の輸送情報、入港、陸揚げ、遅延といった情報を把握しなければ、工場の生産は最適化できません。物流、生産、在庫の実績を把握する必要があります。

物流エリアも含めた見える化をシステムで管理し、需要予測、生産予測に基づいたサプライチェーンの仕組みを高精度に実現することで、様々な変動に対処し、在庫を最小化し、リードタイムを短縮するサプライチェーンの最適な運営・管理ができます。

納期回答で、みなさんが困っています。iPhone の部品メーカーが発表されましたが、ある部品を生産している工場で、生産ができない問題が発生した場合、その対処をいかにするかを弊社のシステムを使うことで、できるだけ最適化した回答ができるようにします。

<Asprova SCM で何ができるか>

――サプライチェーンの実態。

高橋 現状の把握が重要ですね。生産の実績、物流の実績、現在の在庫を把握しなくてはいけないのですが、グローバルに急ピッチで拡大している企業でも、国内把握できていても海外での生産、物流、在庫が正確に把握できていない会社が多いですね。

ですから、グローバルに生産、物流、在庫情報をコンピュータでシステム統合したいと、思っている企業が多いです。

生産を行い、チェックして、対応する、数か月先まで予測して対策をするといったレベルを上げていく必要がありますが、そのレベルに届かない企業が目立ちますね。

震災、タイの洪水がなくてもあらかじめ、不測の事態が発生した場合のケースをコンピューター上で訓練的を行い、納期遅れしないような設定ができるようにしています。

――メーカー以外では。

高橋 今では小売りもしています。生産小売業などは、商品の物流センター、各店舗など複数在庫ポイントでの在庫量を最小化するような対応をしています。

基本的に工場と小売業における物流センターは変わらないものと考えています。ですので、小売業への「AsprovaSCM」の適用は比較的容易でした。

グローバル時代に勝つ

――日本だけでなく、海外にも展開されていますが、どこに拠点を設けていますか。

高橋 今のところ中国、ドイツ、韓国、米国、マレーシアに拠点を設けています。中国においては、上海だけでなく、2011年には深センにも拠点を設けました。

先進ユーザーが対象ですので、マーケット的にも、意図的にあせる必要はないと思っています。

また、現地法人のメンバーもなるべく現地の人を採用しています。現地のパートナーと上手に業務を進めていこうと思っています。

――グローバルなサポート体制はどうですか。

高橋 海外進出にも万全なグローバルなサポート体制です。製造業のグローバル化に伴い、海外での営業・サポート体制を整備しています。

中国・韓国・米国・ドイツ・マレーシアに販売子会社を設立し、その周囲に30 以上の会社と販売・サポート契約を締結し、勝つためのグローバル製造業をサポートします。

<システムイメージ>

――今後の展開について。

高橋 速い、安い、簡単という考え方でシス テム設計しています。10億円、100億円もこういったシステムをかけるケースがありますが、売上1000 億円前後で海外の生産拠点を展開している企業にとって、1000万円ぐらいで、提供し、より広くいきわたるようにしたいですね。

しかし、システムの善し悪しを判断できる人がいる会社は少ないですし、サプライチェーンの部門でも関係する部門が多いだけに、経営者層の理解が重要ですね。

■高橋邦芳プロフィール
高橋邦芳(たかはしくによし)1958年生まれ。静岡県浜松市出身。東工大卒。
大学時代は山岳部に所属しロッククライミングや冬山登山をするかたわら、単独自転車で、米シアトルからニューヨークまで5400km、イギリス、オランダ、ドイツ、ベルギー、フランス、スイス、イタリア、ギリシャ、エジプト迄4500km など世界を走破。
1994年日本最初の生産スケジューラーの開発・販売会社・スケジューラー研究所(現:アスプローバ)を設立。
生産スケジューラーAsprova を独自に開発し、日本の製造業に貢献することにより、Asprova を日本トップシェアの生産スケジューラーに育てた。
2005年に中国(北京)現地法人、2006年に韓国現地法人を設立。2006年、米国MITにてSCMのコースを修了(Executive Certificatein Technology,Operations and Value Chain Management)。
2007年にドイツ現地法人・中国(上海)現地法人、2010年にマレーシア現地法人、米国現地法人を設立。2010 年6 月に新製品AsprovaSCMをリリース。Asprovaが世界マーケットを走破し、世界No.1 のSCM/生産スケジューラになることを目指している。

■会社概要
商号:アスプローバ
設立:1994年2月1日
資本金:2000万円
所在地:東京本社東京都品川区平塚2-5-8 五反田ミカドビル8F
事業内容:SCM/生産スケジューリングシステム”Asprova”の研究・開発・販売およびシステムインテグレーション・システムコンサルテーション
http://www.asprova.jp/

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