グッドマンジャパン/日本戦略について

2011年11月19日 

最大の企業ではなく、最良の企業目指す

グッドマンはオーストラリアに本社を持つ世界トップクラスの物流不動産会社だ。2007年に日本レップと資本提携し、その後4年間、日本市場の調査と分析を進め、9月26日に日本レップからグッドマンジャパンに社名変更した。同社のポール・マクギャリー代表取締役社長兼CEOに、社名変更から1か月間の状況並びに、グッドマンの今後の日本戦略を聞いた。

<ポール・マクギャリー社長>
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2007年から日本の物流市場を調査・研究

――9月26日の社名変更から1か月が経ったが、変化はあるか。

マクギャリー 社名変更したことで社員の意識が大きく変わった。世界第2位の規模を誇る物流不動産会社の一員として会社に誇りを持ってもらったようで、意欲も高まっていると感じる。テナント企業も取引に対して、信頼感や安心感が高まったことで、確信を持って接してくれるようになった。

――「グッドマン」というビッグネームの影響か。

マクギャリー テナント企業に接する担当者は変わらないのだが、大きな企業がバックボーンとして存在することに、やはり安心感は持ってもらえているようだ。社員も同様だ。

――なぜ今回のタイミングでの社名変更だったのか。

マクギャリー グッドマンは世界各地で1500社以上のお客様と取引をしている。昨年、対日投資を拡大していくと発表した。合理的に考えてこの機会に明確なブランドイメージを打ち出した方がよいだろうと考え、今回の社名変更となった。グッドマンが日本市場に高い魅力を感じ、本格的に日本市場に展開することを考えれば必然的だった。

――2007年に日本レップの株式を52.9%取得している。その時点での社名変更は考えなかったのか。

マクギャリー 2007年の時点では具体的な計画はなかった。まずは日本市場の調査・分析が重要と認識していた。この間、それを積極的に進めてきた。ただ、常に社名変更の可能性は追求していた。テナント企業も、グッドマンが日本に参入して4年経っているので、こういう日が来ることは予期していたものと思う。

<グッドマンのオーストラリア本社オフィス>
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日本の将来性を非常に楽しみにしている

――日本市場に高い魅力を感じたとのことだが、円高、東日本大震災、タイ洪水被害などネガティブ思考になる要因があふれているが。

マクギャリー もちろんマクロ的な経済の課題は数多くあると認識している。それ以外にも、欧州の不安定な金融問題や米国ですら経済に大きな問題を抱えている。にも関わらず、我々グッドマンは日本市場に非常に楽観的だ。

それは例えば東日本大震災にしても、日本は力強く復興に向けて動いている。被災地の復興は時間がかかるとは思うが、産業自体は復旧・復興のスピードが速い。それができる日本の力は素晴らしいと思っている。

円高に関しては、苦しいながらも適応しようとしている。数年前なら大企業は非常に大きな影響を受けていただろう。ところがここ数年の事業の再構築などで、海外生産拠点を増やし、リスク分散を図っている。そうすると、日本の物流市場の需要が内容的に変化してくる。

――内容的に変化するとは。

マクギャリー 海外での生産が増えていることは、海外からの輸入も増えることになる。そうすると、我々が建設している立地の良いマルチテナント型の近代的な物流施設が必要になると見ている。

もうひとつはメーカーが物流の効率化を今以上に求めているからだ。メーカーはサプライチェーンの効率をもっと高めることができると認識している。それを実現するためには効率的で近代的な物流施設は欠かせない。私たちの提供している物流施設の需要は必ずあると思っている。

顧客満足がグッドマンの基本

――競争が激しい業界で、グッドマンのセールスポイントとは何か。

マクギャリー 基本は顧客の要望をいかに実現するかを顧客とともに考え実践していくことだ。グッドマンの他社との差別化はこの一点に尽きる。そのために顧客とのパートナーシップを作り上げることに全力を注いでいる。

我々はフルサービスを提供しており、決して「ハコモノ」だけを賃貸しているわけではない。要望に沿って、用地を取得し、倉庫を建て、オペレーションサービス、セキュリティまで提供するプロパティマネージメントサービス(PM)を実践しているからだ。これを世界各地において高レベルで展開することで、世界中で一貫したサービスが受けられる。決してレベルは落とさない。

――顧客満足を第一に掲げる企業は多いが、具体的にはどうか。

マクギャリー 具体的な指標に更新率がある。入居してもらうのも当然重要だが、100%満足してもらいリピート率を高め、引き続き入居してもらうことを重視している。具体的な数字ではないが、非常に高い更新率を誇っている。

また顧客満足とは別の話だが、競合他社が最近、「賃料10%アップした」と公表したが、我々からすると信じられない発表だった。多くの課題をかかえ、取り組んでいる入居企業はたまったもんじゃないと思う。当社では絶対あり得ないことだ。

――顧客の要望をすべてかなえていくとコストアップの要因にならないか。

マクギャリー グッドマンの努力はまさにそこだ。例えば、現在の日本市場では、用地獲得は比較的良い状況だ。建築費用も良い状況になっている。高水準の機器や設計を維持しながら、コストを抑える努力をしている。今後もコスト管理を徹底して、顧客に満足してもらえる費用対効果の高い施設を提供していく。

12か月から18か月の期間で1000億円を開発投資する

――すでに「グッドマン堺」の発表など積極的な展開を示しているが、ここ数年の展開を教えて欲しい。

マクギャリー その前に、日本の事業に私は3つの目標を持っている。ひとつは何度も話しているように、顧客の満足度を常に高めていくことだ。事業を成長・拡大しながらも、顧客の要望にきちんと応えていくこと。これがまず第1の目標だ。

二つ目がグッドマン・ジャパンの事業を拡大していくこと。財務基盤の強い親会社のグッドマンから強力な財務支援をしてもらうことになっている。今後12か月から18か月の間で約1000億円の規模で開発を進める予定だ。これらはBTSとマルチテナント型を考えている。

そして三つ目が「最大の会社ではなく最良の会社になる」ことだ。

――1000億円のプロジェクトはある程度決まっているのか。

マクギャリー 現在、検討中のいくつかの案件がある。現段階では発表できないが、その後も同程度のスピードで開発したいと思っている。グッドマン堺の建設はその先駆けとなるものだ。

<グッドマン堺の完成イメージ>
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――「グッドマン堺」の建設を発表しているが、プロジェクトスタートの経緯を教えて欲しい。

マクギャリー これまで大阪にはマルチテナント型の近代的な物流施設がなかったことが大きな理由だ。来年竣工するのが1件ある程度だ。大阪では2007年から2008年にかけて数多くの物流施設が建てられた。それで空室率が一時15%程度まで高まった。

しかし、2008年のリーマンショックなどの金融危機以後、新規の物件が建てられず、徐々に入居率が上がってきた。その結果空室率は5%程度になり、さらに東日本大震災により、需要が供給を上回るようになってきた。特に大震災以降、企業が拠点を内陸部とか西日本に移す傾向が強く表れたこともあり、顧客の要望もあり「グッドマン堺」の建設を決めたわけだ。

――入居企業はすでに決まっているのか。

マクギャリー 顧客からの要望に基づき、施設のプロジェクトを進めるのが基本で、建設を進める前からすでに多くの企業から建物賃貸借申込書を提出してもらっている。現在のところスペースの2倍程度の引き合いが来ている。もう一棟建設することも検討している。

――竣工はいつごろの予定か。

マクギャリー 完成するのは2013年中になる予定だ。

――最後になるが日本の読者に一言。

マクギャリー 当社は日本の企業と一緒に成長することを目指している。そして日本の経済と市場に対してはとてもポジティブだ。日本の物流市場の将来を前向きにとらえている。

<香港の物流施設開発プロジェクト「インターリンク」>
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2012年1月に香港の青衣港地区にグッドマングループが手掛ける24階建ての物流施設開発プロジェクト「インターリンク」が竣工。世界で最も高層の倉庫になる。資産価値は米ドルで6億ドル、DHLサプライチェーン(香港)リミテッド、郵船航空航運(香港)の入居が決まっているほか日本の大手3PL企業とも交渉中だ。

<ポール・マクギャリー社長の趣味はランニングとスノーボード>ph6
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ポール・マクギャリー プロフィール

グッドマンジャパン代表取締役社長兼CEO、およびグッドマンジャパンファンズの取締役を兼任。
ウェスタン・オーストラリア州パース出身。ウェスタン・オーストラリア大学で商学(アカウンティング&ファイナンス)および法学の学士号を取得。マッコーリー大学にてファイナンスの修士号を取得。The Australia Society Tokyo(豪州在東京人)の会長を務める。
パースで公認会計士としてキャリアをスタート。その後シドニーのバンク・オブ・スコットランドに入社、不動産およびプライベートエクイティを専門とする。2004年にシドニー、マッコーリーグループの不動産部門に入社。不動産およびファイナンスの分野で15年の経験を有する。2007年にシドニーから東京に赴任。
趣味はランニング。2012年3月17日に開催される東京マラソンに参加の予定。また、スノーボードも得意で、北海道・ニセコの雪は世界最高と言う。

グッドマンジャパンの概要

東京証券取引所(東証マザーズ)に上場している物流不動産スペシャリストであり、物流不動産に関する不動産仲介、アセットマネジメント、ファンドマネジメント、プロパティーマネジメント、コンストラクションマネジメントを含む幅広いサービスを日本市場で提供。現在の従業員数は約60名、運用総資産は約874億円、管理物件数は27棟。

グッドマングループの概要

オーストラリア、ニュージーランド、アジア、ヨーロッパ、およびイギリスを含むグローバル市場でビジネスを運営する総合不動産グループ。グッドマンリミテッドおよびグッドマン・インダストリアル・トラストから成るグッドマングループは、オーストラリア証券取引所に上場する最大のインダストリアル不動産企業であり、インダストリアル不動産およびビジネススペースの上場ファンドマネジャーとしても、世界有数の規模を誇る。グッドマンの現在の運用資産残高は1兆4400億円。

■グッドマンジャパン
http://jp.goodman.com/

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