物流現場大変革期に果たすDHLサプライチェーンの挑戦

2019年07月30日 

DHLサプライチェーンのアルフレッド・ゴー社長は「カイゼンからイノベーションへ」と、大きな変革期を迎えている物流業界に大胆な発想の転換を促している。
つい先日開催した、AI、ロボティクス、サービスの最先端技術を集めた物流イノベーションの最前線「DHLイノベーション・デー」の開催もその表れだ。
少子高齢化、ドライバー不足、スピード化の要求、従業員確保の困難等、物流業界を取り巻く環境は日々厳しさを増している。
少しずつの改善ではすでに間に合わなくなっているのが現状だとし、「顧客と緊密な連携のもと、大胆な変革で全体最適を目指すべきだ」とゴー社長。
DHLサプライチェーンの未来の物流を探った

<イノベーション・デーの様子>

イノベーション・デーの様子

カイゼンからイノベーションへ

——  日本法人の社長就任1年を迎えました。日本の物流の感想から。

ゴー 日本人の完璧に仕事をこなす勤勉さと技術の高さには感心しています。物流というのは、サービス業ですので、不具合とか不良品をださないということに関しての取り組みは素晴らしいと思います。他のいくつかの国だと、サービスの品質とか不具合に関してはインシデント(事故や障害)等がつきものですが、日本では非常に少ないですね。

——  日本の物流文化で戸惑ったり、疑問に思ったりしたことは。

ゴー 物流に限らず、日本のビジネス文化の中に「カイゼン」(改善)という言葉が浸透しています。このカイゼンによって日本は経済大国に成長したのは周知の事実です。カイゼンはコンテニュアス・インプルーブメントということで、継続的に良くしていく方式だと理解しています。この考え方は、特に段階的に物事を良くしていく場合にはうまくいくと思いますが、昨今のように劇的・破壊的に世の中が変化しようとしている場合、スピード面で追いつけなくなっているように思います。

——  今が劇的に変化している時代だと。

ゴー そうだと思います。物流の世界でも、抜本的な改革が求められている時代だと感じています。プロセスを少しずつ良くしていくカイゼンの文化で成功してきた企業ほど、世の中の変化のスピードに間に合わず、適応能力が若干遅れているように思います。パフォーマンスと競争力を強化していくという変革や変化への適応能力を高めていく必要があります。

——  課題とはどのようなものでしょう。

ゴー 物流業界に限らず自動化、デジタル化、AI化、ロボット化等の技術のイノベーション(技術革新)が急速に進んでいます。さらには少子高齢化、従業員不足・ドライバー不足に対応する方策等、喫緊の課題が目白押しです。また、消費者の購買行動が変化し、物量の波動も激しくなる中リソースの調整は難しくなってきています。これらの課題に対して素早い対応が取れるよう、自動化・デジタル化の取り組みを加速させていく必要があると考えています。

——  他の国ではもっと進んでいるのでしょうか。

ゴー 中国や東南アジアの国でも先進的な物流施設への試みは活発です。日本では思った以上に進んでいないなぁという印象でした。とはいえ、日本でも、倉庫で5〜6年前から既にヴォイス・ピッキングを採用しています。その他にも、いくつかの取り組みはありますが、さらにスピード感を持って進めていく必要があると感じています。

——  先日行った「イノベーション・デー」はそのような背景から開催したと。

ゴー その通りです。イノベーションを成功させるためには、2つの要素があると思っています。1つは、専属ということです。他の業務と掛け持ちで片手間的な対応をするのではなく、専属かつフルタイムで取り組んでいく社員なりチームを作ることです。2つ目は、イノベーションというととても幅広い範囲になるので、顧客にとって最大限のメリットがあるイノベーションに集中することが大切だと考えています。

——  集中と選択ですね。

ゴー そういうことです。例えば、現在の日本では人手不足がとても深刻です。そこで、全体のオペレーションの中で、人手がかかる作業、人に依存する割合の高いオペレーションの上位20%程度に対して、どのようなイノベーションが必要かを今後2〜3年かけて取り組んでいこうと思っています。これは、既存施設に対して行うことも当然ですが、大きなイノベーションとなると、新たに施設を拡充する段階から自動化を基本に据えた設計なりを施していくつもりです。

<アルフレッド・ゴー社長>

アルフレッド・ゴー社長

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