物流施設/技術革新で需要減退、EC伸長で逆に需要増の見通し

2019年05月22日 

日本政策投資銀行(DBJ)は5月20日、「ロジスティクスイノベーション研究会報告書~先端技術によるビジネス革新と先端的物流施設の将来像~」を公表した。

報告書では、B to C分野を中心にロジスティクスイノベーションの動向、イノベーションが輸送分野や物流施設に与える影響、イノベーション推進に向けた課題を整理している。

それによると、ロジスティクスイノベーションの動向概説から始まり、ロジスティクスイノベーションの輸送分野への影響、物流施設に与える影響、ロジスティクスイノベーション推進に向けた課題で構成されている。

<技術革新が物流施設の需要に与える影響>

技術革新が物流施設の需要に与える影響

このうち、ロジスティクスイノベーションの物流施設に与える影響では、まず考えられるものとして、サプライチェーンの全体最適化が実現すると必要在庫量が格段に少なくなる可能性がある、としている。

また、AGVやピッキングロボットが普及するとフォークリフトや作業員の動線の確保が不要となり(あるいは動線のスペースが減少し)、その分のスペースを浮かせることも可能となる。

このほか、倉庫版Uberのようなマッチングビジネスが浸透すれば、余剰スペースが有効活用されるので、保管効率が向上する。こうした点はいずれも物流施設の需要を減退させる。

こうした需要減退要因がどの程度の規模で具体化するかについては、現時点では定量的に予測するのは困難。定性的に考察すれば、e-コマースのさらなる伸びに代表される需要増加の影響のほうが大きく、全体として物流施設の需要は引き続き増えていくというのが現時点での見通しである、としている。

<技術革新が賃貸用物流施設のスペックに与える影響>

技術革新が賃貸用物流施設のスペックに与える影響

また、ロジスティクスイノベーションが物流施設のスペックに与える影響もさまざまな角度から指摘。そのうちの一つ、イノベーションの推進により、サプライチェーン全体の最適化が可能になる世界においては、生産拠点と物流拠点が、あるいは、R&D施設と物流施設が同一施設になる可能性もあり、(建物1棟の複合用途化及び複数建物による面での複合開発の両方の可能性がある)そうした将来の不確実性に備えるべく、電気容量や建坪率・容積率の面で一定の余裕を持たせて回収余地を残していくという考え方も一部では必要になるとしている。

<技術革新が物流不動産のビジネスモデルに与える影響>

技術革新が物流不動産のビジネスモデルに与える影響

さらに、技術革新が物流不動産のビジネスモデルに与える影響では、これまでは定額賃料による長期貸しが主流を占めてきたが、イノベーションが普及する過程で物流施設の提供方法も変化する可能性があるとしている。

GTP(Goods to Person、棚を動かすロボット)等の導入に合わせてAs a service型(SaaS、PaaS、IaaSなどの総称)のビジネスを導入しやすくなる可能性がある。月坪いくらという形から出入荷1個につきいくらという従量課金制により投資を回収することになる。物流施設提供者側からすれば、近年の先進的物流施設の需要増に呼応して、新規参入者が増加し、差別化要因を発揮できる余地が徐々に少なくなっているため、このようなAs a service型のビジネスは、床賃貸以上の付加価値を提供できるという点で自社開発物件の競争力強化を可能にする、としている。

なお、DBJは昨年9月にロジスティクスセクターでのイノベーションを推進する上での課題等を産学官で議論すべく、有識者からなるロジスティクスイノベーション研究会を立ち上げ、本年4月まで3回にわたり議論を行ってきた。

■報告書(地域・産業・経済レポート)
「ロジスティクスイノベーション研究会報告書~先端技術によるビジネス革新と先端的物流施設の将来像~」
https://www.dbj.jp/investigate/etc/index.html

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