物流最前線/ディープラーニングで物流自動化、 物流画像判別技術で一気通貫

2018年08月21日 

物流最前線、ディープラーニングで物流自動化、物流画像判別技術確立で一気通貫

労働人口の減少が確実に進展している現在、今後に向けて、あらゆる分野で自動化が進んでおり、物流分野でもトラックの自動運転や倉庫の自動化が話題になっている。

ただ、一足飛びに完全自動化ができるかといえば、否だ。技術の進歩は速いが、それ以上に人間の行ってきた業務は複雑だ。

そのような中、作業者が目で判断していたものを最先端のディープラーニング技術を駆使し、機械が判断することにより物流現場の自動化を推進していく取り組みをNTTデータとAutomagi(オートマギ)が推進してきた。これにより、部分最適から全体最適へ、一気通貫型のトータルな物流設計を構築している。

<左からNTTデータの川口シニアコンサルタント、Automagiの櫻井社長、NTTデータの大野課長>
左からNTTデータの川口シニアコンサルタント、Automagiの櫻井社長、NTTデータの大野課長

Automagi
櫻井 将彦社長

NTTデータ
製造ITイノベーション事業本部コンサルティング&マーケティング事業部デジタルコンサルティング統括部
大野 有生課長

NTTデータ
製造ITイノベーション事業本部コンサルティング&マーケティング事業部デジタルコンサルティング統括部
川口 有彦シニアコンサルタント

物流画像判別AIエンジン開発

―― 2017年5月にNTTデータさんは「物流業務変革コンサルティングサービス」を開始しました。

大野 「物流業務変革コンサルティングサービス」は、人手に依存している物流業務の自動化・最適化に向け、AI技術をはじめとしたデジタル技術を適用することで、現場業務の変革を支援するコンサルティングメニューです。そのうちの一つに「物流画像判別AIエンジン」の開発があります。佐川急便さん、鈴与さんの協力を得て、多様な荷物の判別や自動仕分けに対する有用性を検証してきました。

―― 検証の結果は。

大野 配車計画に対する「物流画像判別AIエンジン」の適用シミュレーションを実施しました。シミュレーションでは、人手で行っている荷姿登録業務を65%省人化でき、荷物と空き車両のマッチングが成立する確率が3.6%向上できるとの試算を得ることができました。

―― この「物流画像判別AIエンジン」開発にAutomagiさんが技術的な面でパートナーとして協力したと。

櫻井 そうです。我々はAI技術を中核とした会社で2010年6月に設立しています。現在65名の社員がいますが、約8割は技術者です。通常は大手キャリア向けに1000万人以上の利用者向けのサービスの設計・保守を担当しています。自社のAIブランド「AMY」(エイミー)を展開して、映像関係ですと、ディープラーニング技術を使った業務改善・業務支援システムを作って、法人企業に外販していくビジネスを立ち上げており、年率200%の成長を続けています。法人企業に満足してもらえるようにシステム開発からソリューション会社に成長していこうと思っています。その契機となったのが、NTTデータさんと共同で「物流画像判別AIエンジン」の開発に携わったことです。

<Automagiの櫻井 将彦社長>
Automagiの櫻井 将彦社長

<NTTデータの大野 有生課長>
NTTデータの大野 有生課長

<NTTデータの川口 有彦シニアコンサルタント>
NTTデータの川口 有彦シニアコンサルタント

両社の挑戦は経産省案件から始まった

―― 物流業務変革コンサルティングを展開中の「NTTデータ」とAI・ITベンダーの「Automagi」の両社ですが、その出会いについて。

大野 2016年11月に経済産業省からお声がけいただき、実証調査事業として求貨求車のマッチングの仕組みを開発・運営してほしいという話がありました。荷主と物流事業者との直接マッチングでの求貨求車システムです。しかし、断りました。なぜなら、求貨求車自体が立ち止まった形でしたし、抜本的に新しい技術を使った業務設計なり、ビジネス設計をしないと社会的意味はないと考えたからです。そこで、その中の一つの手段である物流業務の特徴である荷姿の無限性に着目すべきではないかと逆提案しました。

―― 荷姿の無限性とは。

大野 例えば、製造業ですと、製造ラインから生産されて来るものはテレビならテレビ、車なら車と形が決まっています。製造業の配車計画はある程度容易に開発できます。しかし、求貨求車の場合、困るのは何かと言うと、不定形な荷物であるとか、混載ではないですか、それを解決しないと先には進めませんよ、ということです。この荷姿というのが、サプライチェーンの中でデータとしてありますか、ということです。

―― 荷物の量とスペースの問題ですね。

大野 そういうことです。例えばトラックに5リューベ(5立方m)のスペースが空いているとします。荷姿が確定していないと、そのスペースにどれだけの量の荷物を入れられるのか、正確にマッチングできませんよね。まずはそのデータをとることから始めましょうと。そこで、大切なのが、現在注目を集めているディープラーニング技術で、これを活用して物流画像判別データを集めようと提案したわけです。

川口 これが経産省に認められて、「IoT・人口知能技術の活用による物流効率化のための調査」事業となり、いくつかの案件で複数のAIベンチャーにお試しで発注しましたが、Automagiさんが一番優れた成果を挙げ、そこから今日までパートナーとして続いているわけです。

―― Automagiとのパートナーの始まりですね。

櫻井 NTTデータさんとは何の人的関係もなかったのですが、これによって評価を頂き、以後はパートナーとして数多くの業務を担当させてもらっています。我々もNTTデータさんと同様、与えられてやるのではなく、顧客と話す中で、さまざまな提案を行ってきました。物流画像判別データにより、スペースが把握できれば、これはビジネスになると考えました。物流事業者が日々業務の中で判別していた荷姿というものを機械の目で判別できないかという点にフォーカスしたわけです。

―― ディープラーニング技術とは

櫻井 深層学習とも呼ばれているディープラーニング技術ですが、人間が自然に行う作業や行為、あるいはモノに対して、コンピューターに学習させることです。ここでは物流画像判別がテーマですが、ディープラーニング技術は非常に便利で、さまざまな分野・企業で使われています。

―― 具体的には。

櫻井 2011年くらいにグーグル研究員ジェフリー・ヒントンさんが提唱した多層のニューラルネットワークによる機械学習手法です。注目されだしたのは2014年あたりからで、音声認識や映像認識で圧倒的に高い精度で判別できるようになりました。乱暴な言い方をすれば、映像認識では機械に人間の目を与えることができるようになったので、きちんと覚え込ませれば、24時間ひたすら人間の目と同様の精度で働いてくれます。今まで自動化できなかった領域は目の代わりをすることができなかったからです。これは、物流だけでなく、あらゆる産業に波及していく技術だと思います。

<Automagiが提供する画像映像検知のAI「AMY INSIGHT」>

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