投稿/3PLという名の虚像(第1回)

2012年08月15日 
3PLを離れてはじめて見えてきたもの

「荷主企業に対して物流改革を提案し、包括して物流業務を受託する業務」(総合物流施策大綱)

「荷主企業に対してその立場に立ってロジスティクスサービスを戦略的に提供する事業者を活用すること」(日本ロジスティクスシステム協会)

よく知られているように、3PLには上記の2説があります。

ところが、これから私の語ることは、きっとあなたに驚きの現実を知らせることでしょう。

なぜなら、3PLという言葉から私たちが思い描くものが、まったく異なるものを指すというのが、私の意見だからです。

生産者と販売者という概念

世の中には、2種類のビジネスマンしか存在しません。製品を生産する者・商品を流通させる者・サービスを提供する者と、それらを販売する者の2種類です。

物流というビジネスにも、トラックによる物品の輸送を行う者や、倉庫を高度に活用して物流センターというサービスを提供する者があります。その中に、荷役を請け負う者や、作業員を派遣する者も出てきます。

ところが、90年代半ばよりデフレ傾向が強まり、少ないビジネスチャンスを、何とか掴んで仕事にありつかねばならなくなりました。生き残りを懸けてシノギを削る時代になったのです。

そこで他業界に劣らず、物流業界にも、マーケティングの波が押し寄せてきました。

マーケティングの重要な任務は、差別化による販促です。

3PLとは本来、マーケティング武装によって物流機能を売ることだったのです。

様々なる意匠

このあたりから20年、物流技術はまったく歩みを止めてしまいます。それがはっきり分かってきたのは、つい最近のことです。

SCMやら、WMSやら、ERPやら、まことしやかな方法論が輸入されました。それを使った提案書も数多く作成されました。

ところが、コンペやビットの依頼者も、それが絵に描いた餅であることを察知していたものですから、提案書の見た目で2~3社に絞りながら最後は、価格競争と言う名の値引き合戦をさせたのでした。

結局現在、在庫管理どころか、帳簿在庫と実棚を合せることすらまともに出来ない、物流事業者でさえも、3PLを名乗るようになっています。

せっかく新規開拓で得た業務であるのに、立ち上げに失敗し、大赤字を出して撤退という憂き目を見ている事業者も少なくないと耳にします。

このように、しばし3PLに酔い痴れた後、私たちの物流業界はいつの間にか、色とりどりの羽を拾い集めたカラスの集団のようになってしまいました。(続く)

■執筆:江島 裕氏(ロジスティクス&ビジョン代表)

■ロジスティクス&ビジョン
http://www8.plala.or.jp/logivision/index.html

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