日通総研/震災時の緊急救援物資輸送のあり方で提言

2011年04月15日 

日通総合研究所は4月12日、ロジスティクスレポートを発表し、大規模で広域的な地震災害に対応した物流の初動期における緊急救援物資輸送のあり方について提言した。

関係者の必死の努力にもかかわらず、今回の震災で初動期の緊急な救援物資の供給に時間を要したのは、震災後、被災した自治体から物資の要請(需要)が、通信途絶により県の災害対策本部等に上がってこなかったことによる面が大きい。

そこで、今回の震災の経験から、大規模かつ広域にわたる通信途絶を伴う震災においては、被災地現地からの要請が顕在化する前に、緊急救援物資の需要を予見し、供給できるシステムを国の災害対策として構築しておくことが望ましいと考えられる。

システムのイメージは、衛星写真や空中撮影から被災地の範囲を把握し、地理情報システムや国土数値情報等から、被災規模・時刻なども考慮して被災地内での属性別(性別年齢別等)被災人口を予測したうえで、被災者が求める物資(特に救命上不可欠で早期に供給することが必要な水・食糧・毛布などが中心)の需要量をおおまかに予見するというもの。

GISや商圏分析・マーケティングなどの分野でソフトウェアとして商品化されており、災害時の写真データを照合させることにより、おおまかな需要量の予見は可能としている。

このような需要の予見をもとに、救援物資を備蓄している被災地外の自治体・企業にピッキングリストを送付し、出荷を要請することにより、たとえ市町村の通信が途絶えていても早期の物資供給体制を動かし始めることができる。

スピーディーに緊急救援物資の出荷要請を行った上で、災害前に県内各地に多数の集約拠点候補地を選定しておき、当該システムに登録、情報共有化が図られていれば、震災時に災害対策本部が物流事業者等と協力して適切な集約拠点をスムーズに選定することができ、被災地へのロジスティクス体制を早期に運用開始することができるという。

さらに、給油所状況やITSによる道路開通状況、空輸のためのヘリポート候補地・港湾の耐震バースなどの情報も当該システムと連動すれば、多様な輸送手段・ルートの確保により、迅速・確実に緊急救援物資を被災者に届けることができる。

このようなシステムの利用により、被災地から被災状況と要請に関する情報が途絶しているとき、災害対策本部の判断によって緊急救援物資の的確な供給を行うことができ、より早く、確実に救命と被災者の安心を確保できることになる。

被災地では、現在も依然として避難所などで厳しい生活を送る被災者が多く、当初の救命用の物資に加え多種多様な救援物資輸送も引き続き行われているが、今は既に緊急救援物資の供給段階から次の段階に移行している。

今回は将来の緊急救援物資の輸送のロジスティクスを検討するために、これまでのところで概ね状況が把握できた初動期の当該物資輸送について、そのあり方を速報した。

救援物資のみならず、これからの復旧・復興に向けて物流に求められる役割も拡大していくものとみられる。次回のレポートでは復旧・復興に向けた物流のロードマップについて提言する。

日通総合研究所
担当:経済研究部
TEL03-6251-6446
http://www.nittsu-soken.co.jp/report/

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