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日本生命の物流不動産開発戦略

2017年07月03日/物流最前線

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専業デベロッパーではない生命保険会社である日本生命が、物流不動産開発を着実に進めている。

「長期安定保有」方針をベースに、徹底して希少性の高い土地にこだわっていくという。

直近では、5月に東大阪で約1万坪の新規開発計画、6月に横浜町田で約3万坪の新規開発計画を発表した。

今回、日本生命 不動産部 不動産投資開発担当室長の田中開氏と、担当課長の荻野恵太郎氏に、同社の進める物流不動産開発の考え方と、今後の展開を聞いた。

<ニッセイロジスティクスセンター横浜町田>
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「成長・新規領域」としての物流不動産開発

―― 日本生命が物流施設開発に至った経緯は
田中 日本生命の不動産部では、これまで賃貸オフィスを中心として、商業施設やホテル等にも不動産投資を行っており、大手専業不動産会社レベルの投資残高を維持してきました。数年前から、資産運用の幅を広げる趣旨で、「成長・新規領域」として、物流施設も投資対象に広げていくこととしました。

―― 「成長・新規領域」とは?
田中 弊社では、市場規模の拡大が見込まれる領域等を「成長・新規領域」と定義しております。この領域は経済・企業の発展に貢献するといった社会公共性の観点や、長期投資という生命保険の負債特性に合致したものが多く、運用利回りの向上にも繋がることから、注力している領域です。不動産部では、昨今「物流危機」などという言葉もある中、「物流」という分野に投資することで、運用利回りを追求しつつ、少し大げさかもしれませんが、日本の物流の効率化に貢献し、最終的には社会・日本経済の発展にも繋げていければ、とも考えています。

―― これまでに、物流不動産開発は実施していなかったのですか。
荻野 1997年に竣工した物件が高津(川崎市高津区二子6丁目)に1棟ありまして、今も保有しています。好立地であることもあり安定的に稼働しており、入居問い合わせも頻繁に頂いています。とはいえ、延床面積約4100坪、倉庫面積約3600坪ですので、今日的な「大規模物流施設」と言うには、やや規模が小さいかと思います。

―― 投資対象を広げる際に「物流」を選んだ理由とは、そして目標投資額は。
田中 「物流」を選んだ理由は、主に、オフィスと比較して相対的にリターンが高く、かつ将来的にもリテナントしやすい、と考えたためです。目標投資額については、物流不動産だけでなく、弊社全体で、成長・新規2017~2020年の中期経営計画で、「成長・新規領域」に、1.5兆円の新規投資を目指しています。

―― 最初の大規模物流施設への投資は、厚木の物件でした。
田中 厚木は2013年にラサール投資顧問が開発した約1万5000坪の物件を購入し、その時に、開発手法や運営方法等を学ばせていただきました。ここでの経験と、その後にさまざまな物流業界の方とのネットワークを徐々に蓄積し、2015年の大阪松原の開発に繋がっていきました。

―― テナント募集は順調ですか。
田中 生命保険取引、あるいはオフィスビルのテナント企業とのつながりを生かした直接の募集、あるいは、建設会社さんや、仲介会社さんにも協力頂く募集方法で取り組んでいますが、新規の物流テナント情報の収集には、オフィスと違って不慣れなこともあり、試行錯誤しています。

荻野 オフィステナントは、基本的に担当部署が「総務部」等はっきりしていることが多いですが、物流テナントは各社とも担当部署がわかりにくく、場合によってはその企業内にキーマンがおらずに、物流子会社がキーマンとなっていたり、親密な3PL企業が実質的なキーマンになっていたりと、個別性が強いと感じます。

―― たしかに、物流のテナント情報は、なかなかルートを掴みにくい面があると聞きます。
田中 別の問題として、「物流拠点の再編」は、おそらく既存拠点の従業員さんへの影響が大きいためか、なかなか踏み込んだ話を社外の人間には教えてもらえないように感じます。弊社としても、なんとか具体的なお話を引き出すため、水面下で進めている開発案件を紹介するなど、色々と手探りでやっています。

荻野 水面下で開発検討している優良立地案件を多数持っていますので、この記事を読まれた潜在的テナント候補の方が、弊社の物流投資に少しでも興味を持って頂き、ご相談頂けるようなことがあれば、大変有難いです。

<厚木物流センター>
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