JFEスチールは6月20日、次世代のサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)の基盤となるデータベース「JFE統合現品DB」の本格運用を開始したと発表した。
製鉄所を横断した、全社での現品データベースの運用は、国内業界初となる。
JFE統合現品DBは、すべての現品の現在・過去・未来の情報を保有する。現在のステイタスはもちろん、どの工程をいつ通過した、などの履歴情報、最新の次工程以降の通過予定と製品完成予定を、現品に紐付けて保有している。
すべての現品に対し、それぞれ現在・過去・未来の情報を保有しているため、このデータベースの処理量は、一日数百万件以上にもなる。
JFE統合現品DBの特長として、各データの提供元である製鉄所とリアルタイムで情報連携し、24時間365日稼動に対応する。
従来と比較すると、格段に高い精度で現品の情報を取得できるため、それらを活用した効率的な業務が可能になる。
現品情報のトレーサビリティ強化を図っている。開発済みの進捗照会システムにおいて、日々刻々と変動する工場の生産スケジュールをリアルタイムで反映した、最新の製品完成予定情報を全社、顧客とで共有している。これにより、スピーディーなデリバリー・納入業務を行うことが可能となる。
製鉄所のみが把握していた予備材料などの情報も、本社含めた全社で一元的に管理することが可能になる。
これまでは各製鉄所で保有していた品質情報も、統合品質DBとして、本社で一元的に把握できるように整備している。
一日に数百万件以上の情報を処理する「ビッグデータ」でもある。JFE統合現品DBにある詳細な現品情報と、従来から保有している注文や引取などの情報を組み合わせて解析すること、また同一品種や同一工程における製鉄所間の比較などにより、全社的な視点での課題発掘も可能にする。
近い将来、人工知能(AI)を活用したSCM効率化追求検討の際にも、基本情報としても期待される。
出荷・納入システムとの連携では、独自の出荷・納入システム「One JFE」とも連携している。
リアルタイムで正確な現品情報に基づき、各製鉄所の生産管理や物流部門はもちろん、顧客とも現品の出荷・納入の予定を共有することができる。
JFE統合現品DBは、サプライ・チェーンの“全社最適解”を目指した、鉄鋼業の次世代SCMを支えるデータベース。現在は、薄板と厚板で稼働しており、今後は適用品種の拡大、JFE統合現品DBを活用した既存システムのレベルアップを目指すとしている。