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日本気象協会/気象情報の活用で省エネ物流を実現

2017年06月05日/SCM・経営

日本気象協会は6月5日、天気予報で物流を変える取り組みとして2014年度から実施していた「需要予測の精度向上・共有化による省エネ物流プロジェクトの最終報告を発表した。

プロジェクトでは食品ロスの削減と、返品・返送、回収、廃棄、リサイクルなどで不要に発生している二酸化炭素の削減を目指して活動してきた。2016年度が3カ年計画の最終年度。

成果として、気象情報を使った高精度な需要予測によりCPFR(製販配が協力して欠品防止と在庫削減を両立させることを目指す取り組み)を実現し、製造業での予測誤差がほぼゼロになった。

製造業(相模屋食料)と小売業のCPFRを実施し、製造業での豆腐の受注生産を実現し、全国換算で豆腐約5840トンの食品ロス削減が期待される。

気象情報を使った需要予測の利用範囲の拡大では、Mizkanのシーズン終わりの冷やし中華つゆの最終生産量を調整し、150ml商品の最終在庫が約20%削減(2015年比)、取り組み初年度からは約35%削減(2014年比)した。

360ml商品の最終在庫は約90%削減(2015年比)し、2016年度からの新たな対象商品となった。

ネスレ日本、川崎近海汽船では、モーダルシフトをさらに推進し、貨物1トンあたりのCO2を54%削減(2014年比)した。

2016年度は、2015年度に引き続き人工知能(AI)技術を用いて SNS、POS、気象の各データの解析を行い、需要予測モデルの高度化を進めた。その結果、人工知能を使い、気象パターンを「寒い」「肌寒い」「快適」「暖かい」に分けて売り上げを分析した結果、気象パターンごとの売れ筋商品を把握することが可能になった。

人工知能に価格・曜日・気象要件を取り入れて機械学習をさせることで、売り上げの推定精度(相関係数)が0.7から0.87まで向上した。その結果、日配品の需要予測や日次の来店客数予測の精度が向上した。

今後の方針として、日本気象協会は4月1日からこのプロジェクトを「商品需要予測事業」として正式に事業を開始した。

今後は、社会活動活性化と持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けて、食品業界をはじめとした「気象によるリスク」に直面するあらゆる業界を対象に、気象情報をもとにした商品需要予測情報の提供および問題解決を支援するコンサルティングサービスを提供し、企業の「働き方改革」や「生産性向上」、「社会的責任(CSR)」を支援する。

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