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GLPの圏央道戦略/日立物流 東日本PFCの先見性

2017年05月30日/物流最前線

物流施設の未来形を圏央道周辺から発信

一方で物流業界では人材不足による影響が深刻だ。どの産業でも同様だが、少子高齢化の進展、生産年齢人口の減少により、今後、労働力の確保がさらに厳しくなることは確実である。

日立物流東日本PFCでも、現在は従業員の確保が難しくなっているという。「この施設には加須市、久喜市、羽生市、幸手市あたりから従業員が通勤して来ますが、それでも今は従業員を募集しても採用が厳しい状況になっています」と伊与久部長が話すように、このエリアでは物流施設だけでなく、工場や商業施設も巻き込み、人材獲得競争が激しさを増す一方だという。その解決策の一つが自動化だ、と伊与久部長、塩田部長ともに声を揃える。

伊与久部長は「当社でも、現場サイドを含め、現状に対して非常に危機感を持っており、2016年7月にR&Dセンタを都内に開設し、自律型無人フォークリフトをはじめとした省人化・無人化に向けた新技術の開発や検証を行っています」と語る。

塩田部長も同様に、自動化、ロボット化、IoT化には積極的だ。「当然、どのような物流施設が必要かは顧客次第ですが、物流施設開発ディベロッパーとして、できる限りのことは挑戦していくつもりです。すでに、これらの変化に対応できるよう電気容量の拡大や天井高の調整などを行っています。また、自動ラックも再び脚光を浴びつつありますので、そのあたりも考えて、今後の自動化へ向けた建物設計の方向性を決めていきたいと思います」と話す。

さらに、「今後は、センター内での流通加工は言うに及ばず、さまざまな要素が加わり、物流センターの機能自体も変化するでしょう」と伊与久氏。単なる保管場所、配送センターという範疇を越えた新しいセンターの出現を予想する。また、「3Dプリンターで商品を作り、それを隣の保管庫に置き、その横に配送センターを設けるなど、工場と倉庫の境目がなくなることもあり得ると思います」とも話す。

いずれにせよ、物流施設展開と開発に、新たな変革が始まりつつあるということだろう。先進的大型物流施設のメッカとなりつつある圏央道周辺から新たなイノベーションの誕生の予感がする。

<日立物流東日本PFC(GLP加須)の前で、伊与久部長(右)と塩田部長(左)>
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■プロフィール
日立物流
東日本統括本部 首都圏営業本部 北関東営業部長
伊与久 賢一氏
1970年 東京都生まれ
1993年 日立物流に入社し、約7年間営業開発部門に在籍。主に住宅および食品関連の新規開発営業や物流センターの新規立ち上げ~運営サポートに従事。
その後、現場部門に移り、メーカー・流通系のDC・TCやドライ・チルド物流センターの運営管理などを担当。2015年2月より北関東営業部長として、北関東エリア内の事業運営を統括している。

グローバル・ロジスティック・プロパティーズ
執行役員 投資開発・事業開発兼投資開発部長
塩田 徳隆氏
1974年 愛知県生まれ
1996年 中央信託銀行(現:三井住友信託銀行)において、主に不動産証券化提案業務や不動産仲介業務に従事
2006年 プロロジス入社。 バイスプレジデント事業企画部長として、アクイジション事業に従事し、バルク案件を担当。
2009年 GLプロパティーズ(現グローバル・ロジスティック・プロパティーズ)入社。
シニアバイスプレジデント 事業開発部長を経て、2012年に投資開発部長兼事業開発部長に就任、2017年4月より執行役員 投資開発・事業開発兼投資開発部長として新規開発事業とリーシング事業を統括している。

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