UPSは3月7日、2016年度のUPS業績および実績と2017年事業戦略、物流におけるIT活用を発表した。
2016年度のUPS業績および実績と2017年事業戦略についてはUPSジャパンの梅野正人社長が説明。
2016年の売上高609億ドル、2014年~2016年の国際小口貨物営業利益は8期連続2ケタ増、2016年の小口貨物1日あたり平均取扱量は年間合計49億個。
2017年の事業戦略は従来と同様、「重点戦略エリア」「垂直市場」「アジア域内トレード」「越境EC」「中小企業」の5項目を挙げている。
重点戦略エリアでは、これまで東日本市場が中心だったが、西日本に拡大する。具体的には、大阪、愛知、京都、兵庫、滋賀を重点市場とする。
アジア域内トレードでは、世界平均より高い4.9%の成長率を示すアセアン市場や引き続いて中国市場に注力する。
越境ECでは、日米中で市場は2019年までに6.6兆円まで拡大すると予想し、BtoCのほか、BtoB、BtoBtoCに注力する。
物流におけるIT活用では、UPSアジア太平洋地域インフォメーション・テクノロジー担当のクリス・ブオノ バイスプレジデントが説明。
UPSが創業以来110年間、技術でイノベーションを作ってきた歴史を紐解きながら、説明。そして現在の状況を「IT本部からの指令が処理される回数」は2700万回/秒、「配達される書類と貨物の数」を1800万個/日と発表。これを実現するために毎年テクノロジーに10億ドル以上を投資し続けているという。
現在UPSではデータ収集にはテレマティクスを利用し、それを「ORION」でデータを分析している。「ORION」はテレマティクスで集めたデータを解析しドライバーに最も効率的ルートを提供するためのもの。
これが完全導入されれば、短縮走行距離は年間1億マイル、予想される削減コストは年間3~4億ドル、二酸化炭素の排出量削減は年間10万メートルt、燃料節約は年間1000万ガロンになるとしている。
また、オンデマンドパーツ生産の米Fast Radius社の最新3D印刷工場をシンガポールに開設。これにより、UPSのオンデマンド3D印刷ネットワークがアジアに拡大され、付加製造技術を活用した顧客のサプライチェーン効率化が可能となるとしている。これには、回転率の低い部品の在庫を削減できるなど、製造業においての在庫削減も実現するとしている。
自律型ドローンを用いた個人宅配達テストを米国フロリダで実施し、成功したが、課題は山積しており、当分はさまざまな試験を続けるという。
「一番重要なのは、人の安全を守ること。法規面も地域の状況もクリアしないといけない等課題が数多くある。ただ、緊急輸送や配送困難な地域での輸送には、意外と早く実現するかもしれない」とブオノ バイスプレジデント。
今後、これらのテクノロジーの力でコスト削減を実現するとし、1億6000万㎞分の走行距離、3800万リットル分のガソリン、10万t分のCO2排出量を掲げている。