国土交通省は2月28日、神奈川県座間市のGLP座間で、システム開発のブルーイノベーション、東京大学とともに、開発中のドローンポートの実験を行った。
実験は2回に分かれており、今回は機能検証実験。検証項目は「物流用ドローンポートの有無による着陸精度の比較」と「物流用ドローンポートへの第三者侵入時の機能検証」。
使用機材はブルーイノベーション社製モデル(機体寸法1000×1000×580㎜・重量約2キログラム、最大積載量約1.5㎏)を使用。
「物流用ドローンポートの有無による着陸制度の比較」では、高精度なドローンの自動離着陸支援システムを検証。ドローンポートに設置したWi-Fi電波発生装置とマーカーにより、水平誤差50㎝以下でドローンの離着陸を行った。
GPSだけだと、数メートル以上の誤差が当たり前なので、ドローン運航には実用的でないことから、ドローンポートの開発が進められている。
ドローンポートには、周囲のリアルタイムな風速・風向予測システムを設置。観測値をあらかじめ算出していた離発着可能上限値と照合することにより、離発着の可否を判断する。
物流用ドローンポートへの第三者侵入時の機能検証では、ドローンポート内への第三者の侵入をリアルタイムで検知し、離着陸可否を判断する。
もし、ドローンポートに人が入った状況になると、ドローンは上空でホバーリングし、着陸することはないように、設定している。
検証実験は、若干強い風が吹く場面もあったが、着陸制度の比較では、ドローンポートの四隅に設置したWi-Fi電波発生装置とマーカーにより、正確な離着陸に成功した。
これは、Wi-Fiで上空10mから30mをGPSから誘導し、10m以下になるとマーカーを検知してドローンポートに誘導する。GPSだけでは、約1mの誤差でポートから若干はみ出た位置に着陸した。
第三者侵入時の機能検証でも、人が入るとドローンがホバーリングして着陸しないことを確認した。
<将来をイメージして5階倉庫から発進するドローン>
<左から鈴木真二東大教授、国交省の大庭靖貴課長補佐、ブルーイノベーションの熊田雅之COO>
ブルーイノベーションの熊田雅之COOは「実用化にはまだまだ課題は多いですが、一つ一つ課題を解決していきたい。搭載重量については飛行距離との兼ね合いもあるが、小口配送と大きな荷物の2つの種類に分けて考えていきたい。来年の3月ごろには実際の運用実験を実施したいと思っている」と話した。
東京大学の鈴木真二教授は「ドローンポートはまだ研究途上のシステム。きちんと決まった場所にドローンが止まることができるのがドローンポートの役割だ」と話す。
国土交通省の物流政策課企画室の大庭靖貴課長補佐は「ドローンの日本での実用化は米国などとは違い課題が山積している。しかし、研究を重ねていくことが大切で、国交省としても今後もサポートしていきたい」と語った。
なお、次回は荷物輸送実験を3月3日、長野県伊那市長谷地区で道の駅南アルプスむら長谷から長谷高齢者専用住宅で実施。ドローンポートを使用した荷物輸送の課題等を検討する。