今、物流センターに求められるものは何か/CBRE不動産フォーラム2016

2016年07月21日 

<会場の様子>
会場の様子

ドローン配送サービスが一般化するとしたのは約半数

ハーファート 楽天は既にドローンの飲料の配達サービスを行っています。幕張のゴルフコースでやっていますが、「ドローンの配送サービスが今後10年以内に一般的になる」が53%、「11年から20年の間」が17%、そして約30%の人たちは、「ドローンの配送は一般的にはならないだろう」という結果がライブ投票で出ました。寺西さん意外ですか、あまり一般化しないだろうということのようですね。

寺西 一般化しないだろうというのは、私もそんなに違和感はありません。先ほど言ったように、物流におけるドローンの活用は、宅配事業者の営業所から自宅まで届ける、ここが中心になるかと思います。

ドローンの普及にむけて、法整備や、航空管制システムの開発、事故が起きた場合どうするのか、などの検討が進められていますが、これが予定通り行くのかという、ハードルが色々とあります。さらにはその先に、ビジネスとして本当に成り立つのかといったところも課題が色々とあるのではないかと思います。

例えばドローンは自宅等でどう受け渡すのか、どこか勝手におくのか、どうチャイムをならすのか、受領印をどうするのか、代引はどうする等、諸々の課題もあります。

10年後、今より活用は進んでいるとは思いますが、これらの様々な課題を乗り越え、そこら中をドローンがブンブン飛んでいるような世界は、個人的には来ないと思っています。

宮田 ドローンは専門ではないので一般的な意見になりますけど、そもそもアメリカから生まれてドローンで物を届けるという流れの中で、皆さんもご承知のとおり、日本の場合は配送サービスが非常に進んでいて、サービスレベルが高い。これはもうヤマト、佐川含めた配送会社の技術力と言えましょう。非常に世界水準で見ても高い。

一方で、アメリカとか、私が住んでいたフランスでは、不在でも荷物が家の前にドロップされてしまうので、そういう環境の中であればドローンはある程度成立するのかなと思います。今のように日本は時間帯配送ですとか、何回も無料で届けてくれるというサービスがある限り、果たしてドローンは必要なのかは、はなはだ疑問だと思います。

もっと重要なのは、やはり必要な時に必要な物が必要な場所で手に入るということのほうが重要だと思っています。

そういう意味ではおそらくウーバーなど、将来的にシェアリングエコノミーの考え方に基づいてデリバリーするようなサービスは流行るのではないかと思います。そうした形で必要な場所で、あるいは例えば空いている人に届けてもらうというようなやり方のほうが、エコでもあり、いいのではないかと思います。

マクギャリー 私はオーストラリアの出身ですが、オーストラリアでは時間通りに品物が届くのは50%程度の確率です。一方、日本のラストワンマイルの配送サービスの精度は世界一の水準です。

しかしドローンを東京近郊でラストワンマイル配送に利用するには、荷物を受け取るためのインフラがまだ十分に整備されていないと思われます。むしろサービス・オン・デマンドや車およびトラックの自動運転の方がドローンよりも先に浸透するのではないでしょうか。

中嶋 最初に活躍するのは、ヤマトのデポから自宅じゃなくて、まず倉庫の中だと思います。実は倉庫の中って、箱はできてもまだ倉庫内のインフラやソフトウエアとかシステム、あるいは在庫管理のプロセスなどは前時代的なことが結構多いと思います。

こういうところでドローンやほかのテクノロジーが活躍していく可能性のほうが、非常に現実的な話で、それこそ2、3年の内に現実的になってくるなという感じはします。

Eコマースでの返品率の多さは物流の大きな課題

ハーファート 個人的な質問ですが、女房はよくオンラインで買い物をします。洋服を買うときは、通常、2サイズをオーダーし、2つとも返品するときもあれば、どちらか一方を購入するときもあります。米国では、返品率が約50パーセント、日本では約30パーセントと聞きますが、Eコマースとかオンラインショッピングが増えていますから、返品専門のセンターがこれから出てくるのでしょうか。

マクギャリー 今後小売企業がEコマース展開で世界の市場でアマゾンに対抗しようとする場合、返品処理は大きな課題だと思います。ポータルの立ち上げから受注、ピッキング、パッキング、発送に至るプロセスを構築するのは比較的容易ですが、返品の処理は最大の頭痛の種だと思います。

宮田 楽天の場合はEマーケットプレイスですので、基本的には各ショップの方々が返品処理されるわけです。楽天本体が自ら何か返品の処理をするというわけではありませんが、Eコマース全般で言うと、物流観点から見ると最大の問題は、返品の処理をどう行うかという点です。

平均で日本でも20パーセントから40パーセントくらい、ヨーロッパ、アメリカでは50パーセント近く返品されるケースもあるということを考えると、これは本当に物流コストをコントロールしていく上で非常に重要な問題だと思います。

そうした中で先ほどの話でも出ましたが、物流センターに求められる機能というのは、オムニチャンネルとの話、いろいろなステージでユーザーの購買行動が変わってきているわけですから、そこに対してどうフィットしそうなセンターを作っていくかという点が、極めて大事だと思います。

一つ例を挙げます。例えば、ロングテールという言葉があって、Eコマースの中ではロングテールでは非常に買い手側としてはいろいろな商品を手にすることが出来るわけで、便利ですが、物流面からは昨日までサプライじゃなかった商品が急に2個入ってきたりするわけで、これがまたジャンコードシールが貼ってないので、それを入荷のバースのところでパソコンに入力するとか、こういうことをしないといけないわけです。

そうすると、入荷工程のあり方も、単なるパレットで入ってくるのではなく、様々な配送会社からいろいろな形で入ってきて、さらにそれに対して商品コードをつけなきゃいけないとか、付加価値機能を求められるわけで、繰り返しになりますが、ユーザーが何を求めているのか、その先のエンドユーザーの購買行動がどうなっているのかに着目しながら物流センターの設計をすべきだと思います。

ハーファート 終了時間になりました。本日は参加していただき誠にありがとうございます。大変興味深いお話をお聞かせ頂き、どうもありがとうございました。重ねて御礼を申し上げます。

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