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JLL/ドライバーのいないハイテク物流へ

2016年05月31日/調査・統計

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ジョーンズラングラサール(JLL)は5月26日、「ドライバーのいないハイテク物流へ」と題したJLLのEMEAおよび英国物流・産業調査チームのジョン・スリーマンによる、INSIGHTS情報を掲載している。

「商業用大型トラック(HGV)の多くは数年内にセンサーを備えた自律走行型となり、荷物の引き受けや配送を迅速化するためやはりセンサーを装備したロボットが運営する倉庫間の輸送を行うようになるだろう。私たちはこうした自律型車両について、その特徴や操縦性、あるいはドッキング(トラック間の荷物交換)の要件などがどのようなものになるのか、まだよく分かっていない。ただ、こうしたことはいずれも倉庫の規模や設計のほか配置の密度、ひいては土地をめぐる競争の激しい都市部を中心とした開発コストにも影響を与えるだろう」としている。

物流の新たな景色として、「ドライバーレスのトラックと配送ロボットによって、倉庫は大規模な労働市場に近接している必要がなくなる。むしろ、より安価な土地での建設が可能になり、これもまたコストに影響を及ぼす」。

「すでに私たちは倉庫内のロボットによって人間が行う作業の種類がどう変わるかを見ている。ある時点で、必要な業務の数、そして、その地域の大規模な労働市場が必要かといったことも変わってくる可能性がある。さらに、物流不動産に関わる投資家や開発業者なら誰でも、不動産だけでなく物流にセンサー技術が与える広範な影響について理解する必要がある。不動産から少し距離を置き、変化を引き起こしている要因に注意すべきだ。そして、そうした要因の大半はセンサー技術である」とする。

昨年10月には、ドイツでダイムラーが公道での自動トラックの走行実験を初めて行った。

「ドライバーレス車両に関して克服すべき壁がない、というわけではない。初めのうちはまだ人間が乗車することになるだろう。ただ、その人間は運転するのではなくその他の物流関連業務を行うことになる。また、大きな変革が起きるにはまだしばらく時間がかかるかもしれない」と分析している。

「英国内の貨物の73%が陸路によって運搬されているため、今後数年間に物流のセンサー技術による影響が広まるとみている。ドライバーレス車両には、装備しているセンサーやGPSを活用した車両間および車両とインフラ間の良好な通信状況が欠かせない。ただし、ドライバーレスHGVがセンサーを活用するというのは、一つの要素に過ぎない。埋込型センサーの応用範囲の拡大は物流産業全体にとって極めて重要だ。メディアは自律走行HGVにばかり注目している。しかし、センサーが活用される物流の全ての領域に注目する必要がある。私たちが目撃しているのは、サプライチェーン全体にわたる物流のセンサー技術とモノのインターネット(IOT)との相互作用だ」。

「この結果、幅広く多様なソースから迅速にデータを選び出すことができ、これがサプライチェーン全体に大きな影響を与えるだろう。全てが同時に一つになろうとしている。つまり、荷物を追跡し、サプライチェーンに対するリスクを監視し、倉庫やトラックを最大限に活用するという点で大きな進展が見られる可能性がある」と予測している。

「技術発展の速さを考えると、10年先のことですら倉庫がどのように機能しているのか、あるいはどこで必要とされているのか正確に指摘することなど困難だ。だが、倉庫の耐用年数が最低でも25年あることを考えれば、投資家や開発業者は現時点で判断を下す際にも長期的な思考を持つ必要だろう」と結論付けている。

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