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プロロジス/山田御酒社長 トップインタビュー

2016年02月19日/物流最前線

立地を左右する人手不足

―― 開発ディベロッパーから見ての現在の日本の物流環境は
山田 日本での物流量自体は今後増えるとは思いませんし、おそらくは少子高齢化も影響し減っていくものと思われます。それ以上に大きな要素なのが、流通の形態の大きな変化です。Eコマースの発展に伴い、即日配送などのサービスが充実してきています。私たち開発ディベロッパーとしてできるのは、その要望に合わせた受け皿をつくることです。その一つが分散していた拠点を一つに集約して効率を上げていく。この集約需要が現在の需要のほぼ半分程度を占めています。

―― そこに先進的物流施設が必要ということですか
山田 旧態依然の倉庫だと対応できない時代になってきています。人手不足も絡み、企業としてはさらなる効率と新たなサービスの展開が求められます。ロボット化や自動化は今後ますます進むと考えられます。

―― 湾岸地域の倉庫の建て替え需要が活発です。
山田 平屋建ての民家がマンションに建て替えられていくのと同様だと思います。例えば国ごとのEC化率をみれば、日本は4%程度、米国では8%、ヨーロッパはもっと高いですし、今後日本が米国並みになるにしても、2倍の需要に対応しなければならなくなります。その受け皿としてのハードの部分を提供することが私たちの役割だと思っています。

―― 施設の立地については。
山田 関東を例にしますと、物流の集積地は例えば東北道沿線の加須など、従来から拠点になっている場所がいくつかあります。しかし、そういうところに開発しようとしても、倉庫要員の確保がほとんど不可能になっています。すでに従業員の奪い合いが始まっています。ですから、なるべくそういう場所ではないところで開発したいのですが、それにぴったりなのが圏央道周辺です。当初は交通不便ということで、相手にされませんでしたが、開通する区間が広がるに従い、労働人口も容易に確保できることから、人気を集めています。1月に竣工した埼玉県の「プロロジスパーク吉見」も圏央道沿いですが、雇用確保がしやすい周辺環境が、立地選定の大きな決め手でした。

―― 圏央道の開通で流れが変わったと。
山田 東京都心部の交通量は約30%程度減り、モノの流れが明らかに変わったと多くの人から聞きます。今後は、圏央道沿線でも空白地域の筑波周辺の開発に重点が移ります。東京湾アクアラインを使えば、東京を中心とした環状の交通路と地方に伸びる高速道路が容易に利用できることになります。ただ、圏央道だけが良いわけではなく、16号沿いでも、沿岸部でもそれぞれの企業に適した場所があるはずです。BCPの観点と利便性から、湾岸部と内陸部に物流施設を持つ動きも広まっています。

<竣工したばかりのプロロジスパーク吉見>
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