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プロロジス/山田御酒社長 トップインタビュー

2016年02月19日/物流最前線

狭くて高い土地に合理的な解決法生み出す

―― 本格的な日本進出が始まったと。
山田 成田の成功から、日本ではマルチテナント型もあり得ると、米国の本社の理解も進みました。東京の都有地跡に開発した大田の物件は、容積率が300%でしたので、土地の広さから計算すると7階建てになります。そのため、入口と出口専用のランプを2つ作って40フィートのトラックが各階につけられるようにしました。当時としては画期的なことで、トラックで何度も実証実験を行い、斜度をどのくらいにすれば、貨物の落下の心配もなく、通行できるか等、丹念に検証しました。

―― トラックバースは1階が当たり前の時代です。
山田 そうですね。多層階にし、トラックが直接接車できるため、我々の施設にはトラック待機場を基本的に作っていません。そして、この方式があっという間に広がり、スタンダードになりました。1社で借りられる広さには限度があり、その分マルチテナント型だと多彩な応用が利きますからね。実は先進的物流施設でのマルチテナント型物流施設の開発はこれが最初でした。その後は、働く人たちの環境改善のために、食堂やコンビニ等の整備や免震構造によるBCP対策、LEDや太陽光パネルの採用など、新たなアイデアを次々に盛り込んでいきました。2007年には年間の規模が1000億円を超えていました。

―― 免震構造などは大切な要素になりました。
山田 もちろん起こってほしくはないですが、いみじくも、2011年の東日本大震災で免震構造の重要さが認識されました。入居していた企業からは、荷崩れなく何一つ落ちなかったと驚かれました。それまでは、そこまでやる必要はないという声が多かったのですが、それ以後基本スペックになりました。

―― 新たなアイデアを盛り込むと開発コストがかさむのでは。
山田 確かに、開発コストはかさみます。例えば免震を付けたから賃料アップしますだけでは顧客に通用しません。もちろんそうなればありがたいですが、それはこちらの都合。自助努力で吸収できるように努力しています。

―― リーマンショックの時は大変だったのでは。
山田 リーマンショックは基本的に金融業界の危機でした。我々の借入比率は少なく、資産には何の影響もないはずでしたが、金融機関がおかしくなったら、プロロジスもおかしくなると考えられたようです。米国のプロロジスの株も73$だったものが2$20セントまで下がりました。そこでどうにかしないといけないということで、シンガポール政府投資公社(GIC)が中国と日本の物件を引き受けてくれました。これが現在のGLPのオリジナルですね。

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