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首都圏物流施設/空室率6.9%に上昇、既存物件は低位安定

2016年01月29日/調査・統計

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CBREは1月29日、「ジャパンロジスティックスマーケットビュー(2015年第4四半期)」を発刊した。

<首都圏 大型マルチテナント型物流施設(LMT)需給バランス>
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今期(Q4)は計6棟、約15万坪の大型マルチテナント型物流施設(LMT)の供給があった。四半期ベースで調査開始以来最高の新規供給。

2015年通年の新規供給も29万坪超で、こちらも過去最高となった。空室率は6.9%で、前期に比べて3.4ポイント上昇した。空室率が6%を超えたのは2014年Q2以来。竣工1年以上の空室率は1.2%と調査開始以来の最低を記録した。

即ち、新規竣工物件が大きく空室を残して竣工したことが空室率上昇の要因である。首都圏全体の空室面積のうち約2/3を今期の新規竣工物件が占めた。

今期竣工した6棟のうち3棟は一棟借りにより満床で竣工したのに対し、比較的規模の大きい3棟ではテナント決定率が低く、物件により稼働状況に差が出ている。

ただし、需要自体は堅調で、Q4の新規需要7万5000坪は、需給が本格的にタイト化した2012年以降の四半期平均(4万5000坪)を大きく上回っている。2015年通年でも、新規需要は過去最高を記録した。

今期の需要は供給面積に対しては約半分に止まり、空室率を押し上げることとなった。

首都圏4エリア毎の実績にも差異がみられた。東京ベイエリアの空室率は8.4%で前期から横ばい、外環道エリアも0.7%と前期に対して微増にとどまったのに対し、国道16号エリアは8.6%、圏央道エリアは10.3%と、前期に比べて大幅に上昇した。

<首都圏 主な開発計画マップ>
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<首都圏 主な開発計画一覧>
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近畿圏では、今期(Q4)の近畿での大型マルチテナント型物流施設(LMT)は、2015年Q1に竣工した「プロロジスパーク大阪 5」や既存物件で空室が消化され、空室率は3.5%に低下した。

新規竣工物件はなく、テナントは全体に落ち着いた動きであった。まとまった規模の空室が数棟のLMTに限定され、移転ニーズに対して選択肢が少ない状態が続いている。

2016年前半に竣工予定の「京阪淀ロジスティクスヤード」や「DプロジェクトSC西淀川 III」では、すでに物流会社などの入居テナントがかなり決定してきている。

その他にも拠点統合を組み合わせた拡張や再編のニーズが散見されており、1万坪以上の大規模な需要が少なくない。テナントで目立つのは物流会社やeコマース系企業、荷主としては食品・家電などが中心である。

中部圏では、底堅い需要の一方、賃貸物件が不足する状態が続いている。テナントニーズは2000坪程度以上が珍しくない中で、その規模の募集空室は数えるほどしか存在しないのが実状である。

中部圏では、潜在化している多くの需要の受け皿として、開発計画が次々に具体化している。

愛知県稲沢市で「MFLP稲沢」の開発が公表されたほか、清須市でも再開発計画が進行中である。先進的な大型施設の認知度も高まっており、賃料目線の上昇傾向は鮮明になっている。 

福岡圏では、大和ハウス工業が九州最大、九州初のダブルランプウェイ完備のマルチテナント型施設「DPL福岡宇美」の着工を発表した。

1フロア5500坪の広大な面積を確保する傍ら、最少1000坪単位の区画でも賃貸可能な、地域性に配慮した設計となっている。約1年後の2017年1月に竣工予定。

利用している施設の老朽化や拠点分散といった課題を持つテナントは多く、移転需要を喚起すると予想される。

同時に、依然として自社使用施設のための土地取得意欲も高く、企業の多くは両にらみで検討している。

その他の地域では、札幌で、テナントの動きが具体化してきた。日本梱包運輸のダンロップタイヤ向けの物流センター建設はその一例である。

耐震に問題のある老朽化倉庫が多く、移転して拠点の集約を図りたいニーズはあるが、雇用を確保しやすい札幌市内では全く物件が足りない状況である。

仙台でも物件不足は切迫しており、空室が発生しても募集にかかる前に消化される状況が続いている。自社使用施設の建設により発生する二次空室でも、食品・飲料、小売業の後継テナントが早々と決まった。

岡山では「GLP総社II」が竣工。地方エリアにおける先進的物流施設として注目を集めている。

隣地で2013年に竣工した「GLP総社I」はリーシングが進み、満床に近づいている。広島では新たな賃貸物流施設建設の計画が複数浮上している。

老朽化した物件では高まる物流ニーズに合致しないことから、既存物件への再投資を志向する動きが見られるようになってきた。

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