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日通総研/トラックドライバー不足問題の要因と対応でレポート

2015年05月11日/調査・統計

日通総研は5月8日、ロジレポ「トラックドライバー不足問題の要因と対応」を発表した。

<「自動車運転の職業」の有効求人倍率の推移>
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ドライバー不足の要因として、長く続いてきた供給過多の時代の影響により余儀なくされた低賃金で長時間労働、常に交通事故の危険性があるなど厳しい労働環境、また、職業としてのドライバーのイメージが決して高くはないことなど、これまでもさまざまな要因が指摘されてきた。

長時間労働で低賃金な労働条件については、ドライバーの労働条件をみると、他産業に比べて低賃金で長時間労働という実態にある。ドライバーの賃金は、「きつい仕事であるが他の職業よりも賃金は高い」という時代があったが、それは過去の話。全産業平均や建設業と比べて、道路貨物運送業の月収は約5万円の差があり、年間賞与その他特別給与額を加えて年収を試算すると、道路貨物運送業は約400万円と他産業とは100万円以上もの格差となっているとしている。

実際の輸送現場での厳しい実態を挙げている。ドライバー不足は、近距離の輸送を行うドライバー、長距離ドライバーともに問題となっている。

近距離ドライバーの輸送現場では、荷物の積み卸しが手作業の場合が少なくない。宅配輸送はいうまでもなく、大型トラックでの輸送でも、いまだ手積み、手卸しの現場がある。例えば、加工食品をメーカー側の物流センターから量販店等の配送センターに10トン車で輸送する現場でも、手積み、手卸しがそれぞれ2時間かけて行われているケースがある。ドライバーにとっての労力は厳しいものであることは間違いないとしている。

一方で、職業の選択は、その仕事に対する「興味」や「やりがい」が大きな理由となることは言うまでもない。ドライバーでは、過去から常に「クルマの運転が好きだから」という理由が最上位であった。

しかし、若年層では、都市部の公共交通機関の発達やクルマの保有費用の高さ、加えて、クルマが趣味や興味、ステイタスシンボルといった存在から、移動手段としての道具という位置づけに変化している。社会全般でいわゆる「クルマ離れ」が進んでおり、クルマへの興味の部分が引き続き選択理由となるのは厳しい状況がうかがえることも、ドライバー不足の要因のひとつとみられると分析している。

そして、ドライバー確保に向けた取り組みとしてまず何より「なり手」を増やし選択されるためには、賃金アップと労働時間短縮への取り組みは必須と考える。それは、ドライバーへのアンケート調査結果からも指摘されている。

しかし、多くのトラック運送事業者では、経費の削減や賃金体系の見直しなどの経営努力にも既に工夫の余地は少ない。そこでトラック運送事業者の立場で今こそ重要なのは、適正運賃の収受である。そのためには、荷主企業との運賃交渉が重要であり、原価計算に基づいた理論武装が必要である。すなわち、まず自社内でどれだけの運賃が適正なのかを確認する必要があるからである。

最終的には「ドライバーに優しい物流」の実現には、運送事業者の自助努力のみならず、荷主企業や消費者を含めた社会全体の理解と協力が不可欠である。その結果が、我が国の経済活動に必須なトラックドライバーの安定的な提供につながるものと考える、としている。

■トラックドライバー不足問題の要因と対応
http://www.nittsu-soken.co.jp/report/logistics/report21.html

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